尾池 和夫
あけましておめでとうございます。
みなさんがたのご协力で、良い年を迎えることが出来ました。今年もまた一年、健康に気をつけて、よろしくお愿いします。
穏やかな天候とともに、初日の出を迎えた元日でした。南鳥島で5時27分、京都で 7時05分、 与那国島で 7時32分でした。日本列島は長いので、1時間半以上の差があります。
今年、最初に见たニュースは、アテネの広场で迎える新年の光景でした。日本の朝7时、アテネでは0时です。今年は、アテネで第28回オリンピック竞技大会が开催されます。竞技は、2004年8月13日から29日までです。古代オリンピックが终わって以来1500年ほどの时间のおいて、近代オリンピック竞技が始まりました。最初の大会は、やはりアテネで开催されました。
その大会の次の年、1897年に京都帝国大学が创设されました。入学资格は、やはり男子だけでした。
今年最初のニュースの次のニュースは、バグダッドからで、市内で爆発があり、死伤者がありました。その次は火事。住宅が全焼して3人が死亡。イランの震灾で、死者は4万人に达するそうです。日本からの医疗支援が始まっています。邮政事业の民営化。秋に経済财政諮问会议で最终报告をまとめるという方针です。つぎは财政。义务教育の教员の给与に影响が及ぶ可能性が出てきました。国立大学の法人化と并んで、日本の教育の危机であります。
ニュースの后、テレビで能楽を见ました。宝生流の「羽衣」でした。この时间の流れが、京都の、そして京都大学の文化の流れであり、それを保たなければならないと思いました。ニュースや能楽のように、さまざまな面を抱えて、これから京都大学でも新しい一年が始まるのだ、そう思いながら元日の朝を、私は过ごしました。
総长に就任して初めての新年を迎えました。先ほど、诸先辈や同僚の方たちを前にして、また评议员、部局长をはじめ诸先生方のご出席を得て、年の初めの挨拶をさせていただきました。これは、私にとって、たいそう名誉なことであり、たいそう紧张することでもありました。
新年のあいさつとして、総长就任にあたっての、私の基本的な考え方を申し上げて、ご批判を仰ぎ、また、ご指导を赐りたいと申し上げてきました。
第1に、自由の学风を継承し発展させ、自学自习を基本とするという大原则を、あらためて肝に铭じておきたいと思います。この方针を贯いていくためには、今年迎える国立大学法人化も、あるときには、我々の大原则を守り発展させるために大いに役立てることもありますが、ときにはその伝统を守るための妨げになる可能性もあるということが言えます。
今年4月1日には、私は新しく设置される京都大学の総长に指名されることになっています。その后、法人法の趣旨によって、リーダシップを発挥するよう求められているわけですが、それに関して、京都大学では、ボトムアップを基本として、それにもとづく総长のリーダシップという方式を基本にしたいと思っています。部局の自治を基本とする京都大学の伝统には、107年の京都大学の歴史の中で筑かれてきた、学问の自治の重要な基本があると思います。部局长会议での议论をもとに、さまざまのことを考えていく运営方法を大切にしなければならないと考えています。时间がかかりますが、结局はその结果がしっかりと定着していくと思っています。
法人化を间近に控えて、具体的にお愿いしておきたいことがあります。この大学の名称であります。封筒を作ったり、业者に何かの発注をするときには、名称を必ず京都大学としていただきたいと思います。先行の独立行政法人の例にならって、国立大学法人京都大学というような长い名を付けたり、间违って独立行政法人京都大学などという名称を印刷しないように気を付けてほしいということです。ぜひ全学にこのことを伝えてください。
これから急ピッチでいろいろの决定がなされます。さまざまの変革がありますが、その基本的な考え方の重要なポイントは、できるだけ急激な変化を大学の中に生まないようにするということです。また学生や教员、职员の皆さんに不利になるような変更を避けるということです。これを基本にして制度を决めていきたいと思っております。その基本に立って、なおかつ职场の环境が変わり、组织が変わるというようなことが必要となるでしょうが、その点に関して、皆さんのご理解とご协力をお愿いします。
法人化すると、评価を受けることを意识してさまざまのことを実行します。そのためにいろいろの仕事が増えます。それにも皆さんには対処していただく忙しい毎日になります。
社会の评価をしっかりと得るためには、大学の中身を详しく、正确に、迅速に、社会に见せる努力が大学の侧に必要です。そのためには広报の机能を大幅に充実することが必须の条件であります。大学を市民に理解してもらうことが重要です。
どうか皆さんも社会に向かって、できるだけわかりやすい言叶で、仕事をしてほしいと思います。御用始めというのを仕事始めと言い换えることを意识するのも、私のそのような準备运动の一つであります。教官でなく教员に、事务官でなく职员に呼び変えていくことが必要になります。
ちなみに、今、京都大学のホームページで様という字を使っているのは、附属病院の患者様という入り口があることぐらいだと思います。できるだけ市民の言叶で仕事をするということを心がけていただくようお愿いします。
新年が、皆様方にとって、よい年であることを愿って、また、今年も健康に过ごしながら仕事に励んでくださるよう祈って、年始の私のあいさつといたします。
ありがとございました。