尾池 和夫
尾池 和夫総長 本日は女性研究者支援センターの新しい建物の除幕式にご参列頂きありがとうございます。これを記念して、一言ご挨拶申し上げます。
京都大学は2006(平成18)年3月に男女共同参画の基本理念を大学として设定しました。その一つの形の现れとして、本日ここに新しい女性研究者支援センターの建物が完成しました。女性研究者支援センターは、昨年の9月に设置されたばかりの、まだ诞生后8ヶ月にしかならない新しいセンターです。今までは私もおります本部栋の仮の事务室でいろいろな事业を行っていましたが、本日からはこのようなすばらしい拠点で、いろいろな活动を行うことができるようになりました。
この建物は1926(大正15)年に大学の官舎として建築された木造2階建てで、築後80年が経過しております。ごく近年まで使われていました。大きな庭があり、当時としてはかなり斬新な洋風のデザインが残っている部屋があります。建物自体は屋根瓦や壁はさすがに老朽化しておりましたので、吹き替えや塗り替えを行いましたが、内部の壁や床はそのまま使っており、なるべく当時の仕様を残すことを念頭において改修をいたしました。改修は、工学研究科の女性教員である神吉 紀世子先生の研究室の皆様によって、いかに当時の建築様式を保ちながら改修するかに心を砕かれてなされました。また、関係部署の皆様の多大なるご協力によって短期間の内に無事終了しましたことを感謝いたします。
では、この建物で何が行われるかといいますと、女性研究者支援センターが今まで行ってきた事业はもちろんですが、新たに、1阶では学童の一时预かりのスペースと保育士の派遣を提供するという事业が始まります。2阶には小さい会议室があり、10名程度の会议なら行うことができますので、女性研究者の集まりなどに、1阶で保育をしてもらいながら利用できるようになっています。ジェンダー関连の図书も会议室に备え付けられる予定です。
现在、女性研究者支援センターの事业は、科学技术振兴调整费と学内の経费の両方で行われていますので、自然科学分野によらず全分野の女性研究者の支援を行っています。この科学技术振兴调整费は、どのような施策をすれば女性研究者が働きやすい环境を作ることができるかという「京都大学モデル」を构筑することに対しての补助で、女性教员恳话会や子育てグループ等、现场からの意见に基づいて练られた「京都大学女性研究者支援センター」なる本提案は、地域と连携した具体的?包括的な支援策として高く评価できる、と採択理由にも述べられています。
女性研究者が出产?育児?介护中でも研究活动に支障がでないような研究环境を作り、目的に合った支援策を模索しながら実行しています。たとえば、医学に携わる女性は夜勤などがあって子育てと仕事が両立する道が见つからず、仕事を断念せざるを得ない人が多いのが现状です。「京都大学モデル」を确立することによって、より多くの女性が研究に携わることができるようになれば、科学に対して多様な见方ができるようになり、ひいては科学の発展を大きく推进していく结果に繋がって行きます。また、これらの施策は、女性のみならず子育て中の男性の研究を同じように保証する研究环境を生み出します。2008(平成20)年度に、科学技术振兴调整费は终了します。その后、女性研究者支援センターは京都大学の男女共同参画推进のための企画室のような形で、対象を広げて継続?発展して行きたいと考えています。
このセンターの活动から、やがて各界でリーダーとして活跃する女性研究者たちが出て下さることを愿って、私のご挨拶といたします。小雨の中、ご参加下さったたくさんの方がたにお礼を申し上げ、今后ともご支援を赐りますよう、お愿いいたします。
ありがとうございました。