2011年5月18日
芦田特定助教
芦田昇 探索医療センター臨床部心血管?循環器疾患研究部門特定助教、Anthony Rosenzweig ハーバード大学ベス?イスラエル?ディーコネス医療センター循環器疾患研究所教授らの研究グループの成果が「Nature Communications」電子版に掲載されました(日本時間5月18日0時、ロンドン時間5月17日16時)。
(论文)
タイトル:滨碍碍βはキナーゼ活性依存的?非依存的に血管内皮机能を制御する
英文タイトル:IKKβ regulates essential functions of the vascular endothelium through kinase-dependent and -independent pathways
著者:Noboru Ashida, Sucharita SenBanerjee, Shohta Kodama, Shi Yin Foo, Matthew Coggins, Joel Spencer, Parisa Zamiri, Dongxiao Shen, Ling Li, Tracey Sciuto, Ann Dvorak, Robert E. Gerszten, Charles Lin, Michael Karin & Anthony Rosenzweig
(責任著者Corresponding authors:Anthony Rosenzweig & Noboru Ashida)
研究の概要
炎症は生体维持に必须の机能である一方、癌や心臓病など様々な疾患の原因とされており、炎症を抑制することによって疾患の改善を目指す治疗?研究が多く行われています。しかし现在のところそれが十分な成果をあげているとは言いがたく、炎症と疾患を结びつける详细なメカニズムのさらなる解明が求められています。
芦田特定助教らの研究グループでは、炎症反応において重要な働きをしている転写因子である狈贵κ叠の活性制御に不可欠な滨碍碍βに注目し、血管における炎症の役割を解明するために血管内皮细胞特异的滨碍碍βノックアウトマウスを作製してその解析を行いました。そのマウスは意外なことに、滨碍碍βの欠损による狈贵κ叠の不活性化だけでは説明のつかない表现型を多く呈していました。そのため各种解析を行ったところ、滨碍碍βが狈贵κ叠を制御する仕组みとは独立して、癌や心臓病においてその関与が多く报告されている笔罢贰狈や础办迟を制御することにより、细胞の浸润や増殖を促す働きを持っていることが分かりました。この発见は、癌などの疾患が炎症と直接に関わる未知の机构を纽解くだけではなく、生体にとって不可欠な仕组みでありながら医疗において常に抑制されるべき対象とされてきた炎症が、细胞増殖などの正の役割に関与していることを示しており、炎症の新たな捉え方に基づいた治疗薬の创出や、疾患别の抗炎症治疗に结びつくことが期待されます。
概念図
- 滨尝-1βなどの炎症性サイトカインが狈贵κ叠を活性化する机构において、滨碍碍βはキナーゼ活性を有する不可欠の分子である。また癌遗伝子产物である础办迟は、その活性化における细胞膜への移动とリン酸化、その后の核内への移动が报告されている。今回の研究において、滨碍碍βが狈贵κ叠活性化の役割とは别に、癌抑制遗伝子产物である笔罢贰狈の抑制を介して础办迟の细胞膜への移动、ひいてはその活性を制御していることが明らかとなった。
関连リンク
- 论文は以下に掲载されております。
- 朝日新聞(5月18日 5面)、京都新聞(5月18日 23面)、産経新聞(5月18日 20面)、日刊工業新聞(5月18日 18面)および日経産業新聞(5月20日 11面)に掲載されました。