チンパンジーによる同种の他个体の行动を手掛かりとした见本合わせ课题:2台のコンピュータ连结で可能になった完全自动検査环境の确立

チンパンジーによる同种の他个体の行动を手掛かりとした见本合わせ课题:2台のコンピュータ连结で可能になった完全自动検査环境の确立

2011年7月4日


左からChristopher Flynn Martin氏、
松沢教授

 松沢哲郎 霊長類研究所教授/所長、Christopher Flynn Martin 大学院生(理学研究科)らの研究成果が、Animal Cognition(動物認知)論文の電子版に掲載されました。

【论文情报】
Chimpanzees’ use of conspecific cues in matching-to-sample tasks: public information use in a fully automated testing environment
Christopher Flynn Martin, Dora Biro and Tetsuro Matsuzawa

研究成果の概要

 二人のチンパンジーが、それぞれのコンピュータを使って、协力して问题を解く课题に、世界で初めて成功しました。アイとアユムの母子ペアです。同じ部屋の约2尘离れた场所にそれぞれのコンピュータがあります。

 课题は、「见本合わせ」と呼ばれるものです。赤色と緑色と黄色の3色を问题に使いました。色见本と同じ色を合わせる课题では、たとえばモデルとして模范を示すチンパンジー础のモニター画面に赤色と緑色が映し出され、赤色のほうを选んだとします(じつは、赤を选ぶように仕向けるちょっとしたくふうがあります)。それを约2尘离れたところからチンパンジー叠がみています。チンパンジー叠の画面に选択肢として赤色と緑色がでると、さきほど础が选んだのと同じ赤色を选ぶことができます。

 同様に、汉字と汉字を合わせる课题では、一方が赤という文字を选べば、他方が赤という文字を选べます。アイもアユムも、それぞれが役割を交代して、どちらがモデルになってもよくできます。

 さらに课题を复雑にして、シンボルの见本合わせをしました。つまり、一方のモデルが赤色を选ぶと、それを见ていた他方には赤と緑の汉字がでてきます。こうしても、正しく赤という汉字を选べます。つまり、他者の行為を単纯に真似するだけでなく、他者の行為の意味までを深く読み取って、正しくふるまえることが実証されました。なぜなら、一方は色を选んでいるのに、他方はそれが意味する文字を选んでいるからです。なお、この最もむずかしい课题では、母亲のアイはよくできますが、子どものアユムにはまだむずかしいことがわかりました。

 これまでも、野生チンパンジーの研究から、「教えない教育?见习う学习」という、チンパンジーの见て真似る学习方法の存在がわかっています。子どもはおとなのようすを注意深く见ます。见て真似ようとします。一方、おとなのほうは子どもがすることを见て真似ることはほとんどありません。今回の研究から明らかになったこととして、见て学ぶ幼児期を过ごしてきたおとなのチンパンジーは、じつは他者のふるまいをよく见て、その意味を深く理解して、正しくふるまえることがわかりました。

 こうした结果から二つの今后の研究の展望が実証されました。

 第一に、2台のコンピュータを连结した场面を世界で初めて确立しました。これまで、二人のチンパンジーが2本のひもを同时に引っ张って协力して远くのものを引き寄せる、というような研究はありましたが、今回は二人が离れてそれぞれのモニター画面に向かっていますから、いわば物理的にではなく知的に、相互に协力する课题です。

 第二に、2台のコンピュータは原理的には同じ场所にある必要がありません。远く离れた场所にいる二人のチンパンジーのあいだでの协力やコミュニケーションやかけひきが研究できるようになりました。実际に、すでに、アメリカのシカゴのリンカーンパーク动物园のチンパンジーと本学のチンパンジーをスカイプでつなぐ研究を始めました。

 复数のチンパンジーの知的なやりとりを2台のコンピュータを连结する手法で解析する。そうした新手法が确立されたことで、まったく新しい分野の社会的知性の研究が进みます。


色-色の见本合わせ课题で奥のモデルが母亲のアイ、手前の「见る侧」がアユム

関连リンク

  • 论文は以下に掲载されております。

 

 

  • 朝日新聞(7月5日 34面)、京都新聞(7月5日 26面)、産経新聞(7月5日 24面)、中日新聞(7月5日 29面)、日本経済新聞(7月5日 34面)、毎日新聞(7月5日 28面)および読売新聞(7月5日 39面)に掲載されました。