2012年5月22日
松山隆司 情報学研究科教授は、我が国独自の電力エネルギーマネジメント方式として、数年前から「エネルギーの情報化」という考え方を提唱し研究開発を進めるとともに、2009年5月からは産学連携組織として「エネルギーの情報化ワーキンググループ」を創設し、海外も含めた幅広い研究開発活動を展開して来ました。
2010年8月には、「エネルギーの情报化」の有効性を示すための第一段阶のシステムとして、通常のマンションルーム内のすべての家电に、高精度电力计测?信号処理?通信机能を备えた「スマートタップ」を付け、エネルギー消费のリアルタイム计测?表示、人间?电気机器の安全安心见守り、省エネコンサルティングを行う「エネルギー消费の见える化」システムを完成させました。
このたび、エネルギーの情报化システムの第二段阶として、生活の质を损なうことなく、生活者が指定した省エネ率を确実に実现する机能を持ったシステムが完成しました。
概要
松山教授の研究グループおよびエネルギーの情报化奥骋では、「エネルギーの情报化」を実现するため、家庭?オフィス?工场内のすべての电気机器に、高精度电力计测?信号処理?通信机能を备えた「スマートタップ」を付け、机器毎の电力消费のリアルタイム?モニタリング、高度な省エネルギー制御などを行うシステムの开発を进めています。
特に最近は、电力需给の逼迫という昨今の社会情势を受け、研究室内での実験ではなく、マンションルームや一戸建て住宅、オフィスといった実际の生活、社会活动の现场で机能するシステムの开発、実用化に力を入れて来ており、2010年8月には、京都市内の通常のマンションルームにおいて、电力消费の见える化システムを稼働させ、実际の生活を行うことによって、システムの有効性、実用性を示して来ました。また、最近では、同システムは、一戸建て住宅およびオフィスにも実装されています。
今回は、エネルギーの情报化システムの第二段阶として、生活の质を损なうことなく、生活者が指定した省エネ率を确実に実现する机能を持ったシステムを、上记のスマートマンションルームに実装し、実际の生活を通じたシステムの有効性评価を行いました。
以下の図1は、今回开発した「オンデマンド型电力制御システム」の动作原理を示したものです。
- 利用者が电気机器のスイッチを入れると机器が必要とする电力を记した情报パケットが电力マネージャに送信される。(スイッチを入れても直接电気机器が翱狈になるわけではない。)
- 電力マネージャは、電力要求の優先度、現在、今後の電力需給状態を考慮して、利用可能な電力使用量、時間を割り当てる。つまり、利用者が予め設定した瞬時電力の最大値(W)および積算電力量(Wh)の制限値を超えない範囲内で電力供給を行う。(「Best Effort」で電力供給を行うため、全ての要求が100%満たされるわけではない。つまり、100Wの要求に対して80Wしか給電されないこともありうるし、他に優先度の高い機器が稼働しており、供給電力に余裕がないと、電力要求が拒否されることもある。)
- 给电开始许可のパケットを受けると初めて、电気机器へ电気が通じる。その际、スマートタップは、许可された电力量の范囲内でしか电気机器に给电しない。
- 电気机器が稼働中であっても、より优先度の高い电力要求が発生したり、社会全体の电力需给が逼迫し、电力会社からの紧急节电要请に基づいて利用可能な最大瞬时电力が下げられると、电気机器への给电が削减、中断されることがありうる。(エアコンや照明などのように、生活环境を整える机器の场合は、短い时间であれば、电気を削减しても生活に大きな影响がないので、温度や明るさを制御して消费电力を削减する。また、コーヒーメーカや汤沸かしポットなどの场合は、电気を削减しても出来上がりが少し遅れるだけなので、ほとんど问题はないなど、様々な家电の特性を活かした节电が自动的、リアルタイムに行われる。)
図1 オンデマンド型電力制御システムの仕組み
図2は、スマートマンションでの実生活実験で计测された実际の电力消费データを基に、オンデマンド型电力制御システムのシミュレーションを行った结果で、左が瞬时电力(奥)、右が积算电力(奥丑)の変化を表し、青线が実际の生活における消费电力、赤の破线が制限値(最大瞬时电力:1200奥、积算电力量:30%减)、赤线が制限値を満たすように修正された电力使用计画、緑线がシステムによる电力制御の结果得られた消费电力となっており、指定された省エネ率が确実に実现されていることが分かります。
図2 スマートマンションにおけるEoDシステムの実験結果
现在、オンデマンド型电力制御システムに、家庭用、オフィス用蓄电池を导入し、それらを知的に制御することによって、生活の质を保証しつつ更なる省エネを実现するシステムの开発を进めています。
- 朝日新聞(5月23日 9面)、京都新聞(5月23日 24面)、産経新聞(5月23日 1面)、日刊工業新聞(5月23日 21面)、日本経済新聞(5月23日 10面)、毎日新聞(5月23日 24面)および読売新聞(5月23日 27面)に掲載されました。