※ 受賞者略歴?業績などを追加しました。(2012年3月14日)

このたび、吉川一義 文学研究科教授が第102回(平成24年)日本学士院賞ならびに恩賜賞を受賞することになりました。日本学士院賞は、学術上特に優れた研究業績に対して贈られるもので、日本の学術賞としては最も権威ある賞です。また、恩賜賞は、日本学士院賞の中から特に優れたものに授与されます。
吉川教授は、昭和45年5月に东京大学文学部フランス文学科を卒业、同年6月に同大学大学院人文科学研究科修士课程(仏语仏文学専攻)に进学、同47年3月に修了、同年4月同博士课程(仏语仏文学専攻)に进学しました。博士课程在学中の同48年10月にパリ?ソルボンヌ大学に留学し、同52年1月に同大学博士号を取得。帰国后同年3月に东京大学大学院人文科学研究科博士课程を中退、4月より同大学文学部助手に採用されました。同53年4月より东京女子大学文理学部専任讲师として採用され、同56年4月同助教授に昇任しました。同63年3月に退职、同年4月に东京都立大学人文学部助教授に就任しました。平成5年4月に同教授に昇任し、同17年に首都大学东京教授となります。同18年3月に辞职、同名誉教授となり、同年4月に京都大学大学院文学研究科教授に就任し、现在に至っています。
吉川教授は、『失われた时を求めて』で知られるフランスの小説家マルセル?プルーストを研究の対象としています。そのフランス语博士论文「未発表草稿帐に基づく『囚われの女』成立过程の研究」(パリ?ソルボンヌ大学、1977年)は、作品の生成研究に新たな知见をもたらしました。また、多数のヨーロッパ絵画が『失われた时を求めて』に登场し、作品构成の要をなしていることに着目して、この作品の创造において絵画が果たした役割を文献?画像両面での彻底的な资料调査を通じて解明しました。吉川教授は、作品中で言及ないし暗示される画家とその作品の多くを同定し、その成果を踏まえて、小説に登场する絵画作品の提示の仕方の多様性が、小説の构成とメッセージにとって持つ意味、芸术に対する偶像崇拝的态度と真の芸术创造との関係、小説に登场する架空の画家エルスチールとその画业が作品において果たす役割、について多くの创见を提起し、プルースト研究ばかりでなく、文学と絵画の相互交渉の研究に斩新な展望を开きました。これらの研究は、『プルースト美术馆』(筑摩书房、1998年)、『プルーストと絵画』(岩波书店、2008年)、そして今回の授赏研究 Proust et l'art pictural (『プルーストと絵画芸術』)(Paris, H. Champion, 2010) などの著作に結実しています。
吉川教授の业绩は、日本人によるフランス文学研究の金字塔ともいうべき成果で、フランス本国でも高い评価を受けています。前记博士论文は多くの校订版や研究书に引用され、仏语での着作 Proust et l'art pictural には「ル?モンド」などの書評で高い評価が与えられました。これらの業績に対して、平成22年5月にフランス政府より教育功労章(Palmes académiques)オフィシエ級が授与、同年6月にはアカデミー?フランセーズ(フランス学士院)から学術大賞フランス語フランス文学顕揚賞(Prix du Rayonnement de la langue et de la littérature fran?aises)が授与、同23年11月には前記Proust et l'art picturalによりカブール=バルベック?プルースト文学サークルから文学賞(Madeleine d'Or)が授与されています。
吉川教授は现在、日本フランス语フランス文学会の会长を务める一方、『失われた时を求めて』(岩波文库、全14巻、既刊3巻)の个人全訳に取り组んでおり、プルースト作品の日本における受容にも多大な贡献をしています。
これらの研究成果は内外の研究者に极めて高く评価されており、今回の受赏の対象となったものです。
なお、授赏式は平成24年6月に东京で行われる予定です。
関连リンク
受赏理由等详细は、を参照してください。