「大学博物館研究シンポジウム-先端研究の核心としての大学博物館コレクションネットワークの構築-」をAPRU(The Association of Pacific Rim Universities : 環太平洋大学協会)と共催で、百周年時計台記念館および総合博物館において開催しました。APRUは、環太平洋地域の社会の重要課題に、教育?研究の分野から協力?貢献することを目的として1997年に設立され、16か国(地域)42大学が加盟しています。
総合博物館では、かねてから日本学術振興会(JSPS)アジア?アフリカ研究基盤形成事業(2011~2013年)に採択された「東アジア脊椎動物種多様性研究基盤と標本ネットワーク形成」事業等で、標本コレクションを基盤とする国際的研究?教育ネットワーク構築を進めてきました。本シンポジウムはこれらの実績の上に開催したもので、森純一 国际交流推進機構長?副理事を組織委員長とし、京都大学教育研究振興財団からの助成を受け、総合博物館が主に担当しました。
シンポジウムには、础笔搁鲍加盟大学を中心に13カ国より100名が参加し、口头発表、ポスターセッション、ワークショップが3日に亘って行われ、厳しいスケジュールにもかかわらず紧张感が途切れることなく、活発な経験?意见の交换が行われました。また、総合博物馆の常设?特别展および文系?理系の収蔵库の见学ツアーも行いました。质?量的に优れた标本类が温度や湿度が管理された収蔵库に整然と収められている様子を绍介できたのは、夸らしい出来事でした。
本シンポジウムでは、大学博物馆の标本は、急速に研究?教育への利活用频度が高まりつつあり、活用分野も、従来の博物科学の分野はもちろん、バイオテクノロジー、地球环境の復元?予测、维持可能な天然资源利用など工学から社会科学まで広い最先端研究分野に拡がりつつあることが报告されました。
また、これらの标本の利活用を円滑にするためのデータベース化、さらには标本を基に行われた研究の背景を记した着名研究者のフィールドノートなどを広くアーカイブ化することの重要性が讨议されました。さらに、展示を博物馆から市中に持ち出す大胆な试み、あるいは、考古学的発掘を通じた多様な民族?文化の相互理解の桥渡しなど、従来の「アウトリーチ」の枠を超えた大学博物馆ならではの地域?国际社会への贡献の事例も报告されました。
このように、大学の研究?教育?社会贡献において标本はますます重要な役割を果たすことが多くの大学に认识され始めています。このことは、既に膨大な标本を拥する大学博物馆だけでなく、これから标本を収集?整备しようと意気込んでいる大学からも本シンポジウムに多くの参加者があった事実が里付けています。
本シンポジウムの最大の成果は、今后益々利用価値が高まっていく标本について、个别の大学间での充実竞争ではなく、国际ネットワーク化を図り大学や大学博物馆が密接に协力することで、これら标本コレクション群を大学での研究?教育はもちろん、大学の国际社会への贡献の推进に役立てるべきであるとの合意を得られたことです。また、このネットワークを実现するためにシンポジウムを定期的に开催して课题の検讨を行う必要があることが决议され、础笔搁鲍本部への働きかけを行うことも决められました。さらに2年后の开催を目指して、复数の础笔搁鲍加盟大学博物馆が开催候补地としての検讨に入っています。
今回の础笔搁鲍大学博物馆研究シンポジウムは、このように大学や大学博物馆の未来に指针を与える具体的提言やアクションを生み出した有意义なものとなりました。
![]() 左から、開会式での大西有三理事?副学長、Christopher Tremewan APRU事務局長、講演するワシントン大学Laura Phillips氏、台湾大学Jieh Hsiang氏 | |
![]() 参加者の集合写真 | |
![]() マラヤ大学Halijah Ibrahim氏の討論 | ![]() 総合博物馆考古学収蔵库ガイドツアー |