糖尿病患者の心の負担に日本人特有の要因の存在 -協調性を重視する文化の影響-

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公开日

池田香織 医学部附属病院特定助教と稲垣暢也 医学研究科教授らは、内田由紀子 こころの未来研究センター特定准教授、藤本新平 高知大学医学部教授、Beth Morling アメリカDelaware大学准教授と共同で日米の糖尿病患者の調査を行い、アジア文化で特徴的な協調性の重視が、糖尿病患者の心の負担を増す要因となっていることを明らかにしました。

本研究成果は、2014年10月15日午後2時(アメリカ東部時間)に「PLOS ONE」で公開されます。

研究者からのコメント

左から池田特定助教、内田特定准教授

协调性を重视する程度や周囲からの心のサポートの効果には个人差も大きく存在しますが、日本などアジアの国では周囲の他者との调和を重んじる相互协调性の高い文化や社会が形成されています。このことを考虑に入れた治疗戦略を确立することで、多くの糖尿病患者の心の负担の軽减や、その结果としての治疗の成功にも贡献することが期待されます。

今回の知见をもとに、日本人糖尿病患者において効果的な疗养方法を探る研究を実施しており、より具体的な疗养方法の开発につなげることを目指しています。

概要

糖尿病の治疗の目标は、血糖値の改善とともに、健康な人と変わらない生活の质を保つことです。糖尿病の治疗では食事疗法や运动疗法などを日常生活の中に取り込む必要が生じますが、これを成功に导くための手法はまだ十分整っていません。文化?社会心理学の研究成果から、人の行动の动机に个人の意思や能力の影响が大きい北米と异なり、アジアでは周囲との関係による影响が大きいことが明らかになってきました。

そこで池田特定助教らは、生活习惯の変容を求められる糖尿病の治疗においては、この文化的背景を考虑にいれる必要があると考え、内田特定准教授らとともに、日本人糖尿病患者とアメリカ人糖尿病患者に対し、协调性、周囲の人との心のつながり、糖尿病の心の负担を调査し、相互の関连を検讨しました。

その结果、协调性が高いとされる社会で生活する日本人糖尿病患者では、协调性の高い人ほど糖尿病の负担を强く感じており、周囲との心のつながりが强い人では负担が軽减していました。糖尿病の分野ではこれまで、社会や个人の协调性に関する议论はなされていませんでしたが、今回、文化?社会心理学との融合研究によって新たな视点がもたらされました。

础、叠:协调性(横轴)と糖尿病负担感(縦轴)の関係。础の日本人では协调性を重视する人ほど负担感が强いという関係がありますが、叠のアメリカ人では明らかではありません( r :相関係数、笔:统计学的过误率)、颁、顿:周囲からの心のサポート(横轴)と糖尿病负担感(縦轴)の関係。颁の日本人ではサポートを强く実感している人ほど负担感が軽减しているという関係がありますが、顿のアメリカ人ではそのような関係がみられません。

详しい研究内容について

糖尿病患者の心の負担に日本人特有の要因の存在 -協調性を重視する文化の影響-

书誌情报

[DOI]

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Kaori Ikeda, Shimpei Fujimoto, Beth Morling, Shiho Ayano-Takahara, Andrew E. Carroll, Shin-ichi Harashima, Yukiko Uchida, Nobuya Inagaki
"Social Orientation and Diabetes-Related Distress in Japanese and American Patients with Type 2 Diabetes"
PLOS ONE Volume 9 Issue 10 e109323 Published: October 15, 2014