木内泰 医学研究科准教授、渡邊直樹 生命科学研究科教授らの研究グループは、同時に染色できるタンパク質の種類に上限がなく、さらに高精細な画像が得られる超解像顕微鏡法IRISを開発しました。2014年ノーベル賞の受賞対象となった超解像顕微鏡法では染色できるタンパク質の種類を増やすことが難しく、画質にも限界がありましたが、IRISはそれらの限界を突破した発明です。これによって多種のタンパク質が織りなすミクロな世界を忠実に可視化することが期待できます。
本研究成果は、米国東部標準時7月6日、米国科学誌「Nature Methods」誌(電子版)に掲載されました。
研究者からのコメント
左から渡边教授、木内准教授
细胞骨格にのみならず多数の生体分子に対するプローブの开発を现在进めています。今后、细胞研究への応用のみならず、癌や神経変性疾患など病気に関係する异常なタンパク质の分布や蓄积をいちはやく捉えるなど革新的な病理诊断?病态解明への応用を目指しています。
概要
超解像顕微镜は、従来、光学顕微镜の限界とされていた分解能(~200苍尘)よりも一桁小さい分解能でタンパク质の分布を観察することを可能にしました。しかし、分解能がタンパク质のサイズに近づいたため、抗体などによる标识の不均一さが目立つようになり、画像がタンパク质の分布を必ずしも正确に反映しないことが问题とされてきました。さらに多种类のタンパク质を染め分け、同一の细胞で観察することは困难でした。
本研究グループは、既存の手法を超えた高精細な画像が得られ、観察できる標的タンパク質の種類に上限がない超解像顕微鏡法IRIS(Image Reconstruction by Integrating exchangeable Single-molecule localization)を開発しました。これは、迅速に結合解離を繰り返すプローブを用いて標的タンパク質を可視化するという簡単なアイディアにより、従来法の限界を突破できることを見出したもので、IRISでは、標的に結合するタンパク質の部分断片を蛍光標識してプローブとして用い、多数のプローブの結合を捕捉することで標的の標識率を上限なく高めることができ、高密度標識による精細な画像を得ることができます。さらにプローブを洗い流して順次別のプローブと交換することで、原理的に上限のない種類のタンパク質を観察することができます。
滨搁滨厂による多重染色超解像
详しい研究内容について
书誌情报
[DOI]
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Tai Kiuchi, Makio Higuchi, Akihiro Takamura, Masahiro Maruoka & Naoki Watanabe
"Multitarget super-resolution microscopy with high-density labeling by exchangeable probes"
Nature Methods Published online 06 July 2015
- 朝日新聞(8月13日 23面)、京都新聞(7月27日夕刊 1面)および日刊工業新聞(7月7日 21面)に掲載されました。