津波起源の电磁场の海底観测により地震断层の倾斜方向を推定

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藤浩明 理学研究科准教授らの研究グループは、深海底に設置した電磁場観測装置により地震津波に伴う電磁場変化を検知し、それを基に津波を発生させた地震の断層傾斜を推定しました。

本研究成果は2016年6月29日付けで、Nature Publishing Groupのオープンアクセス誌Scientific Reportsに掲載されました。

研究者からのコメント

本研究によって、地震学に対する津波电磁场の有効性が确かめられたと考えられます。しかし、この研究で用いた叁次元津波电磁场计算法は、非一様导体近似を周波数领域で适用した后、データと比较する际にその结果を时间领域に逆変换するというやや烦雑なものでした。今后は、时间领域における津波电磁场の叁次元直接解法の开発が行われる予定です。また、津波が作る电磁场を利用した津波予测や早期警戒への応用が期待されます。

概要

地震波を使った地震断层パラメータの推定では、断层の向きは决められても断层がどの方向に倾斜しているかについては地震波の解析だけからは决定できない场合もあります。そういった场合には、事后に余震分布などを见ながら断层倾斜を确定していくことになります。

一方、震央が海域にあると、地震に伴い津波が発生する时がありますが、本研究グループでは、地球磁场のような弱い磁场の下であっても、导电的な海水が津波に伴って一斉に运动することで有意な电磁场が発生することを世界で初めて検出しました。検出した津波电磁场は,津波の到来方向や波高、押し波/引き波の别,分散の有无などさまざまな津波に関する情报を含んでいることが、分かりました。

そこで本研究グループは、新たに発见されたこの津波电磁场が津波を引き起こした地震の震源情报解明に役立てられないかと考えました。津波电磁场の発见以来、その二次元计算は既に可能になっていましたが、本研究では多くの津波に対して电磁気的には海洋が十分薄いと仮定できることに着目し、非一様薄层导体近似を适用して津波电磁场の叁次元计算を可能にしました。また、既存の津波计算法を改良し、津波の位相速度が周期に依存する性质(津波の分散)を効率良く取り入れられるようにしました。

その结果、2007年1月に千岛海沟海侧斜面で発生した分散性津波に伴う津波电磁场を説明するには、対応する津波地震の断层倾斜が「北西落ちではなく、南东落ちでなければならない」ことを、海底で観测された津波电磁场データを用いて実証しました。

本研究グループは、津波が地球磁场とのカップリングにより観测可能な电磁场を発生させる事を2011年に発见していましたが、今回の研究により津波电磁场が地震の震源パラメータの推定にも役立つ事が示されました。

今后は、津波电磁场によっても有効な津波予测や早期警戒ができるようになると考えられます。

図:(上)地震断层の倾斜モデル。どちらの方向に倾斜しているのかは、地震波の解析でも决めにくいが、今回の研究では地震が発生させた津波に伴う电磁场を検出する事により、南东倾斜だと推定。
(左下) 2007年1月に発生した津波地震の震央(赤い☆印)と海底電磁場観測点(黄色い△印)。赤△は、最寄りの海底圧力観測点。
(右下)北西落ちと南东落ち断层それぞれが作った津波による磁场铅直成分のデータ(黒点)との比较。残差自乗和は、南东落ちの方が半分以下と小さい。

书誌情报

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Issei Kawashima & Hiroaki Toh. (2016). Tsunami-generated magnetic fields may constrain focal mechanisms of earthquakes. Scientific Reports 6: 28603