ムカデはなぜあれほど機敏に動けるのだろうか? -多足ロボットを用いた実験的検証-

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青井伸也 工学研究科講師らの研究グループはムカデを模した多足ロボットと数理モデルを用いて、体軸を真っ直ぐにした直線歩行が歩行速度や体軸柔軟性に応じて不安定化し、この不安定性が急旋回のような素早く機敏な運動を可能にすることを明らかにしました。本研究のような数理モデルやロボットを用いた研究方法は、生物の巧みな運動生成メカニズムの解明に大きく寄与すると期待されます。

本研究成果は、2016年7月22日18時に英国の学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

研究者からのコメント

青井讲师

本研究では、ムカデのような多くの足を用いた多足歩行において、分岐による直线歩行の不安定性が急旋回のような素早く机敏な运动生成に寄与することを数理モデルやロボットを用いて明らかにしました。このような力学特性を利用した运动机能の向上は、生物の优れた运动戦略として重要な示唆を与えるものです。生物はその复雑な筋骨格系を制御して巧みな运动を実现していますが、その力学原理には多くの谜が残されています。数理モデルやロボットを用いた方法は、生物の巧みな运动机能の未解决な问题に対して、新たな方法を提供すると期待されます。また、シンプルな制御ながら力学特性を効果的に利用することで高性能な运动机能が実现できるなど、このような研究から得られる知见は、人工物の新たな制御系の开発にも役立つと期待されます。

概要

ムカデは多くの足を持つ节足动物です。歩くときは、重力に抗して身体を支え、推进力や减速力を得るために、多くの足が地面に着いています。その际、これらの足は地面に拘束されてしまうため、急旋回のような素早く机敏な运动を行う障害となり得ますが、実际のムカデは非常に敏捷に歩きます。ムカデのような多くの足を用いる机敏な歩行生成メカニズムは未だ不明确です。

近年、本研究グループはムカデの数理モデルを用いて、体轴を真っ直ぐにした直线歩行が歩行速度や体轴柔软性(体节を繋ぐバネのバネ定数の逆数)に応じて不安定化し、蛇行运动に迁移することを明らかにしました。速度や柔软性といったパラメータの変化により安定な状态が崩れ、蛇行运动のような安定な周期的振る舞いが新たに现れることを「ホップ分岐」と呼びます。本研究では、この分岐による直线歩行の不安定性が急旋回のような素早く机敏な运动を可能にすることを、多足ロボットを用いた実験を通して明らかにしました。身体特性などの制御による不安定性を利用した运动机能の向上は、生物の优れた运动戦略として重要な示唆を与えるものです。

検証に使った多足ロボット

详しい研究内容について

大きい体轴柔软性による蛇行运动の発生

急旋回実験

书誌情报

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Shinya Aoi, Takahiro Tanaka, Soichiro Fujiki, Tetsuro Funato, Kei Senda & Kazuo Tsuchiya. (2016). Advantage of straight walk instability in turning maneuver of multilegged locomotion: a robotics approach. Scientific Reports, 6: 30199.

  • 京都新聞(7月23日 27面)、産経新聞(8月10日 21面)、日刊工業新聞(7月26日 29面、9月14日 25面)、日本経済新聞(7月25日 13面)に掲載されました。