高齢者肾臓病の新たな病态メカニズムの発见?新规治疗戦略の可能性を拓く

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柳田素子 医学研究科教授、佐藤有紀 同特定助教らの研究グループは、近年世界中で増加しており大きな社会問題となっている高齢者の腎臓病における新たな病態メカニズムを発見し、新たな治療戦略の可能性を見出しました。

本研究成果は、2016年7月21日午後10時に米国科学誌「 Journal of Clinical Investigation Insight」のオンライン版で公開されました。

研究者からのコメント

左から柳田教授、佐藤特定助教

本研究では、高齢者の肾臓病が若年者と比べて回復しにくい原因が、障害后の「3次リンパ组织」形成とそれに伴う修復の遅延であることを解明し、それに対する治疗の可能性を见出しました。本研究の成果は高齢者肾臓病の新たな治疗戦略の可能性を拓くものです。

概要

现在血液透析患者数は年々増加し、医疗的にも社会的にも大きな问题になっています。透析导入に至る患者さんの平均年齢は67歳と高齢であり、今后さらなる高齢社会を迎える我が国にとって対策が急务となっております。

以前より、高齢者の肾臓病は若年者と比べて治りにくいと言われていましたが、その原因は明らかではありませんでした。

今回本研究グループは、高齢マウスの肾臓病では肾臓の中に「3次リンパ组织」(リンパ节のような组织)ができることで炎症が迁延し、肾臓が修復できなくなることを発见しました(図1)。さらに、その3次リンパ组织を除く治疗をすれば高齢マウスでも肾臓が修復しやすくなり、予后が改善することも明らかにしました。

また、ヒト高齢者の肾臓の3割近くにこの3次リンパ组织があること、その构成成分はマウスで解明したものと非常に似通っていることも见いだしました(図2)。

本研究グループは以前健康な肾臓に存在する「线维芽细胞」の性质変化が肾臓の线维化と肾性贫血を引き起こすことを报告しました。今回の研究では、この线维芽细胞の振る舞いが加齢に伴って変化し、前述の3次リンパ组织を诱导することを突き止めました(図2)。

本研究成果は、3次リンパ组织を标的とした治疗法が高齢者の肾臓病の回復を促し、透析导入を遅延させる可能性を示唆するものであり、今后の研究の発展が期待されます。

详しい研究内容について

书誌情报


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Yuki Sato, Akiko Mii, Yoko Hamazaki, Harumi Fujita, Hirosuke Nakata, Kyoko Masuda, Shingo Nishiyama, Shinsuke Shibuya, Hironori Haga, Osamu Ogawa, Akira Shimizu, Shuh Narumiya, Tsuneyasu Kaisho, Makoto Arita, Masashi Yanagisawa, Masayuki Miyasaka, Kumar Sharma, Nagahiro Minato, Hiroshi Kawamoto and Motoko Yanagita. (2016). Heterogeneous fibroblasts underlie age-dependent tertiary lymphoid tissues in the kidney. JCI Insight, 1(11): e87680.

  • 朝日新聞(7月22日 33面)、京都新聞(7月22日 27面)、産経新聞(7月22日 10面)、毎日新聞(7月26日 25面)に掲載されました。