徳山奈帆子 霊長類研究所研究員らの研究グループは、野生のボノボのメスの連合形成パターンと、凝集性や親和的交渉の頻度との関係を調査し、年下のメスがオスから攻撃を受けた時に、年上のメス(達)がそのメスを助けるという形で連合が形成されていることを発見しました。
本研究成果は2016年7月19日に「Animal Behavior」誌で発表されました。
研究者からのコメント
动物のメス同士の社会関係には血縁が强く関係しており、メス同士に血縁関係がない「父系」の集団形态を持つ种ではメスの社会的绊は弱いことが知られています。しかしボノボにおいては、父系の集団を形成しているにも関わらず、メス同士が强い绊を结びます。さらにボノボの社会は、メスが优位であるという点で非常に特徴的です。この研究では、ボノボのメスの连合関係がメス优位な社会の维持に重要であること、连合と凝集性、そして、亲和的交渉との関係を明らかにしました。本研究は、女性が分散する倾向が强いヒトにおいての、女性同士の社会関係の进化を议论する上でも重要であると考えられます。
概要
連合攻撃と呼ばれる、2頭以上の生物個体が共同で同じ個体を攻撃する行動があります。霊長類のメスの連合は多くの場合、血縁のあるメス同士で、メス間の順位や食物を巡る競争のために形成されます。チンパンジーと近縁な類人猿であるボノボ(Pan paniscus)においてはメスが集団を移籍するため、集団内のメス同士に血縁関係はありませんが、それにもかかわらずメスの頻繁な連合攻撃行動がみられます。
全てのオスがメスよりも优位であるチンパンジーの社会とは违い、ボノボはメス优位な社会を持ちます。さらにメス同士は频繁に毛づくろい等を行い、强い亲和的関係を结びます。ボノボにおけるメスの连合は、メスの优位性を维持するために重要であり、メスは连合関係を维持?促进するために亲和的交渉を行うと考えられてきました。
しかし、実际にメスがどのように连合を形成するのか明らかにされていませんでした。本研究ではボノボにおいて、メスの连合が亲和的関係や互恵性に基づいて形成されているかどうか、コンゴ民主共和国ルオー学术保护区に生息する野生ボノボの一群を対象に観察を行いました。
その结果、メスは强い亲和的関係を结んだメスを选んで连合を组むわけではなく、年下のメスがオスから攻撃を受けた时に、年上のメス(达)がそのメスを助けるという形で连合が形成されていることが分かりました。
メスは、オスの攻撃的行动に対し协力して繰り返し报復を行うことでオスの攻撃性をコントロールし、全体としてのメスの优位性を维持していると考えられます。

図:ボノボのメスたち
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Nahoko Tokuyama, Takeshi Furuichi. (2016). Do friends help each other? Patterns of female coalition formation in wild bonobos at Wamba. Animal Behaviour, 119 Pages 27–35.