质量情报を取り入れた新たな天然有机化合物の探索手法により、放线菌が产生する新规抗生物质ストレプトアミナール类を発见-医薬品シーズとなる化合物の多様性の拡充に期待-

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公开日

掛谷秀昭 薬学研究科教授、西村慎一 同助教、杉山龍介 同博士課程学生らの研究グループは東京大学農学生命科学研究科と共同で、質量分析計で規則的に検出されるイオンピークのクラスタ(集団)に着目する新たな探索手法を用いることで、微生物複合培養液から新规抗生物质ストレプトアミナール类を発见しました。イオンピーク?クラスタ情報を指標にする本探索手法は、天然資源が含有する新たな医薬シーズの発掘に貢献すると期待されます。

本研究成果は、2016年7月27日にドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

左から、掛谷教授、西村助教、杉山博士课程学生

本研究ではストレプトアミナールと名付けた新规の抗生物质を発见しました。これは、二种类の微生物を一つのフラスコで培养(复合培养)して得られる微生物代谢产物という未开拓で有望な资源から、质量分析计で特徴的なイオンピーク?クラスタを示すというユニークな性质を指标に単离したものです。本手法は、多くの医薬品?医薬品シーズを辈出してきた天然有机化合物のケミカルスペースをさらに拡充させる一助になると考えています。

本研究成果のポイント

  • イオンピーク?クラスタ情报にもとづく天然有机化合物の探索方法を提案
  • 物质生产のポテンシャルの高い放线菌を他种の细菌との复合培养
  • 新规抗生物质ストレプトアミナール类を発见
  • 各种スペクトル解析と化学合成によるストレプトアミナール类の化学构造の决定

概要

植物や微生物、动物が含有する天然有机化合物には特异的な生物活性を示すものが多くみられ、それらは直接、あるいはその化学构造や作用机序を参考にして、抗生物质や抗がん剤といった医薬品创製に活かされてきました。1940年代にアオカビが产生するペニシリンが抗生物质として実用化されたことを契机に多くの天然有机化合物が报告されてきましたが、近年は天然资源からの新规化合物の报告数は减少倾向にあります。现在、この问题を克服するべく、新しい生物资源の开拓やゲノム解析による二次代谢产物の网罗的な探索など、新しい方法论が模索されています。

本研究グループではユニークな天然資源から、特徴的な生物活性を示す天然有機化合物の探索研究を行っています。近年では、放线菌とミコール酸含有細菌の複合培養液から抗真菌化合物(5aTHQ)類を見出しました。5aTHQ類には少なくとも8つの類縁化合物が存在し、それらは質量の差が14であることから、質量分析計では14 マスユニットおきに観測されるイオンピークのクラスタ(集団)として検出されます。この質量分析データは5aTHQ類に特有のものであることから、異なるイオンピークのクラスタに着目することで新規の化合物群を容易に取得できると予想しました。そこで14マスユニットおきに検出されるイオンピークを同複合培養液から探索したところ、新たなイオンピーク?クラスタ(m/z = 270、284、298、312、326)を見出しました。目的のイオンピークを示す化合物を精製し、化学構造を解析したところ、ストレプトアミナールと命名した新しい構造を有する抗生物質であることが明らかになりました。

天然有机化合物の质量分析データのデータベース化や、生合成遗伝子の网罗的解析を基盘にした新规化合物の探索方法の开発が世界中で试みられており、现在、既存のパーツからなる化合物(例えば、アミノ酸から构成されるペプチド性化合物)の同定?取得には威力を発挥しています。しかし全く新しい化学构造を持つ化合物を、大规模データの统计解析だけで取得することは非常に困难です。本研究では分子量14违いという特徴を持った化合物群に注目することで、新しい炭素骨格を有する化合物群の取得に成功しました。このことは、天然资源に対して新しい検索方法を适用することで、天然有机化合物のケミカルスペース(化学种の多様性)を拡张することが可能であることを强く示唆しています。

図.イオンピーク?クラスタ情报を用いた新规天然有机化合物の取得イメージ

放线菌 Streptomyces nigrescens 贬贰碍616とミコール酸含有细菌 Tsukamurella pulmonis TP-B0596 を一つのフラスコで培養(複合培養)し、培養液を有機溶媒で抽出したものを質量分析計で分析を行いました。質量差14のイオンピーク?クラスタを探索するというユニークなアプローチにより、新规抗生物质ストレプトアミナール类を発见しました。

详しい研究内容について