川上文人 霊長類研究所研究員、友永雅己 同教授、鈴木樹理 同准教授らのグループは、京都大学霊長類研究所に暮らす生後4日から21日齢の7個体のニホンザルの赤ちゃんを観察し、「笑顔の起源」とされる自発的微笑が見られることを確認しました。
本研究成果は2016年8月3日午前0时に霊长类学に関する国际誌「プリマーテス」に掲载されました。
研究者からのコメント
左から友永教授、川上研究员
この研究はヒト科以外の霊长类であるニホンザルにおいても、笑颜の起源とされる自発的微笑が多く见られることを示し、その微笑にヒトやチンパンジーとは异なる点もあることを见いだしました。ニホンザルに自発的微笑が见られたことにより、その微笑が存在する意味について、これまでと异なる视点から议论することが可能となります。
概要
自発的微笑とは、睡眠中に唇の端が上がる动きのことで、外部からの视聴触覚刺激によらず生じるため「自発的」とされています。ヒトとチンパンジーでは、生后1か月までの新生児期やそれ以降の乳児期にも见られることがわかっています。ニホンザルの赤ちゃんでも目撃例はあったものの、今回のように体系的に行われた研究はありませんでした。
本研究グループは、7个体のニホンザルの赤ちゃんについて、合计93分の睡眠をビデオで撮影しました。その中で、すべての赤ちゃんが少なくとも1回、合计58回の自発的微笑を见せました。その结果、微笑の频度や継続时间に日齢や体重の影响は见られませんでしたが、ヒトとニホンザルの自発的微笑との间には、类似点と相违点が见られました。
类似点は二つあります。一つは浅い眠りである不规则睡眠中にだけ见られたということです。この点はヒト、チンパンジー、ニホンザルに共通した特徴です。二つめの类似点はヒトでもニホンザルでも生后1か月までの新生児期では、微笑が頬の片侧に见られることが両侧に比べて多かったという点です。その一方で、ヒトの赤ちゃんとは异なる点も见つかりました。微笑の形が最も强くなるまでに要する时间がニホンザルの方が短く、より引きつったように见えるという点でした。また、チンパンジーの自発的微笑と比较すると、ニホンザルの方が観察时间あたりの微笑の频度が多かったという违いが见られました。
図:ニホンザルの赤ちゃんにおける自発的微笑。础-贵は个体番号、アルファベットの次の数字は観察セッションの番号、ハイフンの次の番号は各微笑の滨顿番号を示す。狈别耻迟谤补濒:微笑前、笔别补办:微笑が最大になったとき
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Fumito Kawakami, Masaki Tomonaga, Juri Suzuki. (2016). The first smile: spontaneous smiles in newborn Japanese macaques (Macaca fuscata). Primates.
- 朝日新聞(8月3日 32面)、京都新聞(8月3日 23面)、産経新聞(8月4日夕刊 8面)、中日新聞(8月3日 3面)、日本経済新聞(8月3日 34面)、毎日新聞(8月3日夕刊 8面)、読売新聞(8月3日 35面)に掲載されました。