陳勇 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)教授、亀井謙一郎 同特定准教授らのグループは、ヒトES/iPS細胞(ヒト由来の胚性幹細胞と人工多能性幹細胞)に適した非常に小さな3次元空間を創りだすデバイスの開発に、世界で初めて成功しました。本研究成果は、ヒトES/iPS細胞から機能的な組織を作成する方法の開発につながると期待されます。
本研究成果は、2016年10月24日にドイツの科学誌「Advanced Healthcare Materials」(電子版)で公開されました。
研究者からのコメント
亀井特定准教授
本研究成果では、ヒト贰厂/颈笔厂细胞の新しい3次元培养法を実现するマイクロ流体デバイス(微细加工技术を応用して作製したデバイス)の开発に世界で初めて成功しました。このデバイスでは、従来の细胞培养実験では难しかった「细胞外微小环境」を人工的に创出することができます。今后、ヒト贰厂/颈笔厂细胞をはじめとする细胞や组织の机能を制御する机构の解明や、组织工学?再生医疗?创薬の発展に贡献することが期待されます。
概要
ヒト贰厂/颈笔厂细胞は再生医疗や创薬などで活跃する细胞として期待されています。その一方で従来から使用されている2次元(平面)细胞培养では、目的の细胞机能を获得することは困难でした。これは、ヒトの体の中における细胞を取り巻く3次元的な环境を従来法では作り出せなかったことが原因に挙げられます。
そこで本研究グループは、半导体分野などで実用化されている微细加工技术を基にした「マイクロ流体デバイス」と、温度に応じて「ゲル」から「液体」、「液体」から「ゲル」へと変化することができるヒドロゲル(ポリマー中に水分子を含有したゲル)に着目し、ヒト贰厂/颈笔厂细胞に适した3次元的な环境を创出することを可能にするマイクロ流体デバイスの开発に成功しました。
図:本研究で开発したマイクロ流体デバイスの概念図とその利点
マイクロ流体デバイスとヒドロゲルを组み合わせることによって、细胞外微小环境因子を3次元的に厳密制御できるようになる。このデバイスを本研究グループは「3次元细胞环境プレート(3顿-颁贰笔)」と名付けた。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Ken-ichiro Kamei, Yoshie Koyama, Yumie Tokunaga, Yasumasa Mashimo, Momoko Yoshioka, Christopher Fockenberg, Rowland Mosbergen, Othmar Korn, Christine Wells, and Yong Chen. (2016). Characterization of Phenotypic and Transcriptional Differences in Human Pluripotent Stem Cells under 2D and 3D Culture Conditions. Advanced Healthcare Materials.
- 京都新聞(10月16日 26面)、産経新聞(10月22日 25面)、時事通信(10月15日)および日経産業新聞(10月20日 8面)に掲載されました。