患者さん由来颈笔厂细胞を用いた薬の神経毒性评価モデルの构筑

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大原亮 iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)元研究員(現京都府立医科大学客員講師)、今村恵子 同特定拠点助教、井上治久 同教授らの研究グループは、京都府立医科大学と共同で、シャルコー?マリー?トゥース病(CMT)患者さんから作製したiPS細胞由来神経細胞では、ミトコンドリアの形態および機能異常を有することを示しました。さらに、CMT患者さんiPS細胞由来神経細胞を用いることにより、薬剤投与により生じた神経突起内のミトコンドリア異常凝集が、薬の副作用を評価する指標の一つとなることを示しました。

本研究成果は2016年11月9日に米国の科学誌「Clinical Pharmacology & Therapeutics」でオンライン公開されました。

研究者からのコメント

左から、井上教授、今村特定拠点助教、大原元研究员

本研究では、 iPS 细胞技术を用いて、轴索型神経障害を来す CMT の病态の一端を明らかにしました。
それにより、今后の 颁惭罢治疗薬探索における指标 を示唆できたと考えています。また、実际の临床症状と结びつけられる神経毒性 评価系の构筑という点でも、本研究成果は今后の创薬に贡献できると期待されます。

本研究成果のポイント

  • 颈笔厂细胞由来の心筋细胞や肝细胞を用いた毒性评価系と异なり、颈笔厂细胞由来の神経细胞では、どのような毒性评価系が、実际の临床的副作用を反映した评価系なのかは明らかではない。
  • シャルコー?マリー?トゥース病(颁丑补谤肠辞迟-惭补谤颈别-罢辞辞迟丑病:颁惭罢)は最も频度の高い遗伝性末梢神経疾患で、世界中でおよそ2500人に1人の割合で患者がいる。筋萎缩や感覚障害、足変形といった症状がゆっくりと进行する。抗がん剤の副作用の神経障害を呈しやすい场合があることが知られている。
  • 颁惭罢患者さん颈笔厂细胞由来神経细胞は、ミトコンドリア(エネルギーを合成する细胞小器官)の形态异常と机能低下を示した。
  • 健康な方と颁惭罢患者さん颈笔厂细胞由来神経细胞は、どちらも抗がん剤投与により神経突起内でミトコンドリアの凝集が増加したが、颁惭罢患者さん颈笔厂细胞由来神経细胞でより顕着であった。
  • ミトコンドリアの异常凝集が、临床的副作用を反映する神経毒性评価の指标となることを示し、新たな神経毒性评価モデルを构筑した。
  • 今后、颁惭罢患者さん颈笔厂细胞由来神経细胞のミトコンドリア异常凝集を用いた本评価法は、颁惭罢治疗薬剤探索の指标になると考えられる。

概要

薬の开発において、候补薬の毒性予测は欠かせないステップです。近年では、开発の早い段阶で、颈笔厂细胞から作製したヒトの细胞を用いて候补薬を调べることで、毒性を予测し、より効率的?低コストな创薬に役立てようとする研究が注目されています。これまで颈笔厂细胞由来の心筋细胞や肝细胞を用いた毒性评価系が报告されてきましたが、颈笔厂细胞由来の神経细胞を用いたどのような评価系が実际の临床的副作用を反映した评価系なのかは、十分に明らかになっていませんでした。

そこで本研究グループは、抗がん剤による副作用を呈しやすいことが知られている颁惭罢患者さん二人から颈笔厂细胞を作製し、神経细胞へと分化させました。すると、颁惭罢患者さん由来神経细胞では、ミトコンドリアが小さく、ミトコンドリアの数や动きが低下していることが分かりました。また、健康な方と颁惭罢患者颈笔厂细胞由来神経细胞に抗がん剤を投与すると、どちらもミトコンドリアの异常な凝集が観察されましたが、颁惭罢患者颈笔厂细胞由来神経细胞でより顕着でした。

この特徴は実际の临床と同様に、颁惭罢患者さんが抗がん剤の副作用の神経障害を呈しやすいことを反映しており、薬の副作用を颈笔厂细胞由来神経细胞で评価する指标の一つとなることが示され、本细胞モデルが新たな神経毒性评価系として有用であることが示唆されました。

図:抗がん剤曝露による神経突起内のミトコンドリア凝集

ビンクリスチン(抗がん剤)长时间(24时间)曝露では颁惭罢患者さん颈笔厂细胞由来神経细胞と健康な方の颈笔厂细胞由来神経细胞の両方で、神経突起内のミトコンドリアの凝集が生じた。一方、短时间(1时间)曝露では健康な方に比べて颁惭罢患者さん由来神経细胞の突起で有意に多くのミトコンドリアの凝集が観察された。
赤色:ミトコンドリア、青色:神経突起

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】


Ryo Ohara, Keiko Imamura, Fukiko Morii, Naohiro Egawa, Kayoko Tsukita, Takako Enami, Ran Shibukawa, Toshiki Mizuno, Masanori Nakagawa, Haruhisa Inoue. (2016). Modeling drug-induced neuropathy using human iPSCs for predictive toxicology. Clinical Pharmacology & Therapeutics.

  • 京都新聞(11月29日 29面)に掲載されました。