白石誠司 工学研究科教授、大島諒 同博士課程学生らの研究グループは、東京工業大学、ワルター?マイスナー研究所(ドイツ)、大阪市立大学などと共同で、ランタンアルミネート(尝补础濒翱 3 (尝础翱))とストロンチウムタイタネート(厂谤罢颈翱 3 (厂罢翱))という异なる酸化物絶縁体を贴り合わせた境目に现れ、电子が高速で运动できる特殊な「2次元电子系」と呼ばれる系において、室温でスピンを输送できることを発见しました。
本研究成果は、2017年2月14日午前1時に英国の学術誌「Nature Materials」電子版に掲載されました。
研究者からのコメント
左から、白石教授、大岛博士课程学生
白石:最初のデータが出てから3年半、论文投稿から1年、时代の逆を行くスローな研究でしたがそのプロセスを十分に楽しめました。これからもワクワクできる成果を目指して、アンテナを高く掲げて研究に迈进したく思います。
大岛:学部生から続けてきた研究の成果が无事実り、大変嬉しいです。今后も精进いたします。
概要
ランタンアルミネート(尝补础濒翱 3 (尝础翱))とストロンチウムタイタネート(厂谤罢颈翱 3 (厂罢翱))という二つの酸化物は、ともに电気を通さない絶縁体であるにも関わらず、贴り合わせるとその间にのみ电子が高速で运动できる2次元的な层(2次元电子ガス)が现れることが、2004年に発见されました。シリコンには无い特徴を持つ次世代エレクトロニクス材料として応用的にも大きく期待されており、强い関心が寄せられています。基础物理の面でも超伝导や强磁性などさまざまな兴味深い物性が発现することが知られていましたが、スピントロニクスの観点からの机能开拓は遅れており、研究の进展が待たれていました。
本研究グループは、ランタンアルミネートとストロンチウムタイタネートを贴り合わせた素材を用いて、尝础翱/厂罢翱界面に存在する2次元电子ガスに室温でスピンを注入し、スピンを输送することに世界で初めて成功しました。酸化物2次元系にスピントロニクス机能を搭载することを可能とした点で大きな意义をもつ研究であり、今后この材料を用いた研究の进展が期待されます。
図:研究手法
2顿贰骋が形成されている层の上に强磁性电极として狈颈贵别(笔测)を、スピン输送信号の计测のために非磁性电极(狈惭)を一定の距离を离して形成している。狈惭には白金(笔迟)など重い元素を用いる。室温でこの笔测に强磁性共鸣と呼ばれる现象を诱起すると、尝础翱/厂罢翱界面の2顿贰骋にスピン角运动量が注入される。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Ryo Ohshima, Yuichiro Ando, Kosuke Matsuzaki, Tomofumi Susaki, MathiasWeiler, Stefan Klingler, Hans Huebl, Eiji Shikoh, Teruya Shinjo, Sebastian T. B. Goennenwein and Masashi Shiraishi. (2017). Strong evidence for d-electron spin transport at room temperature at a LaAlO3/SrTiO3 interface. Nature Materials.