宿南知佐 ウイルス?再生医科学研究所客員教授(広島大学教授)、開祐司 同教授、近藤玄 同教授、吉本由紀 広島大学特任助教らの研究グループは、腱?靱帯やその連結部にあたる軟骨など、筋骨格系を繋ぐ組織の成熟には転写因子Scleraxis(Scx)が必要であることを明らかにしました。
本研究成果は、2017年3月22日午後7時に「Scientific Reports」オンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
今回、厂肠虫が繋ぐ组织の成熟に必要な転写因子であることは明らかになりましたが、再生医疗に応用することのできる干细胞から Scx 阳性细胞を効率良く诱导する方法は知られていません。今后、液性因子や低分子化合物を用いて、颈笔厂细胞のような多能性干细胞から Scx 阳性细胞を诱导する方法を开発することによって、外科的な処置だけでは完治を见込めない、繋ぐ组织の再生が可能になることが期待されます。
本研究成果のポイント
- 腱?靱帯やその连结部にあたる软骨など、筋骨格系を繋ぐ组织の成熟には、転写因子厂肠虫が必要であることを解明しました。
- 今回の结果は、一旦损伤すると修復が困难な腱?靭帯やその连结部の再生医疗につながることが期待されます。
概要
腱?靱帯とその连结部の软骨は、筋骨格系が一体化した运动器として机能的に働く际に欠かせない役割を果たしていますが、血管网が乏しいため、一旦损伤すると机能的な回復が难しく、再生医疗の标的の一つとなっています。
本研究グループは、 Scx Cre ノックインマウス(染色体の特定の遗伝子の场所に别の遗伝子の顿狈础が挿入されたマウス)を作成し、筋骨格系を繋ぐ组织に発现している転写因子厂肠虫は、その発现が长く持続する腱?靱帯だけではなく、一过性にしか発现しない连结部の软骨の成熟にも必要であることを明らかにしました。
その结果、厂肠虫の発现を诱导することによって、腱?靱帯とその连结部の软骨の再生を促进することができる可能性が示唆されました。
図:膝の関节の模式図を示す。腱?靭帯が筋と骨を连结している。
详しい研究内容について
书誌情报
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Yuki Yoshimoto, Aki Takimoto, Hitomi Watanabe, Yuji Hiraki, Gen Kondoh & Chisa Shukunami. (2017). Scleraxis is required for maturation of tissue domains for proper integration of the musculoskeletal system. Scientific Reports, 7:45010.