寺村謙太郎 工学研究科准教授、田中庸裕 同教授らの研究グループは、アンモニアを電子源として二酸化炭素(CO 2 )を光还元し、一酸化炭素(颁翱)を取り出す反応に高い活性を示す光触媒群を発见しました。颁翱 2 を光还元する场合には同时に水も光还元されますが、今回発见した触媒を用いると水の光还元はほぼ进行しないため、颁翱 2 から一酸化炭素のみを得ることに成功しました。アンモニアからは无害な窒素のみが生成するため、常温?常圧条件下で水素と一酸化炭素の合成ガスを容易に得る方法として期待が持てる手法です。
本研究成果は、2017年6月19日に英国王立化学会の学術誌「Chemical Science」オンライン速報版に掲載されました。
研究者からのコメント
現在、大気中の二酸化炭素を削減する技術は二酸化炭素貯留(CO2 Capture and Storage、CCS)が一般的です。今回の成果は新たにCO 2 を化学品の基础原料とするケミストリーを発展させる键となる技术だと考えています。
これまで颁翱 2 の光还元における电子源は贬 2 翱か有机物でした。贬 2 翱を电子源とするには现在のところ高いハードルがあります。一方で有机物を用いると炭素源が复数となるため、本当に颁翱 2 から光还元されたものなのか疑义が出る可能性がありました。本研究は无机物である狈贬 3 を电子源として利用できることを见出したことにも意义があります。
概要
エネルギー?环境问题が顕在化している现在、植物の光合成を模倣した人工光合成技术の确立は全世界的に注目を浴びています。温室効果ガスとしてよく知られている颁翱 2 はいずれ枯渇する化石燃料を燃焼した际に排出されます。颁翱 2 は各种の温室効果ガスの中で最も排出量が多く、地球温暖化に最も影响を及ぼす気体であるため、その削减および利用が求められています。しかしながら、颁翱 2 は非常に安定な直线型の分子であるため、别の物质と反応させることが非常に难しいことが知られています。
本研究では不均一系光触媒(固体光触媒)を用いて、アンモニアを电子源として颁翱 2 の光活性化を行い、颁翱 2 から合成ガスの原料となる颁翱を高い浓度(约7500辫辫尘)で得ることに成功しました。これは今までに报告されている中で最も高い浓度です。さらにアンモニアを电子源としたことで、水の场合に生成される酸素とは异なり窒素が生成するため、颁翱と酸素を分离する必要がないことも利点です。
详しい研究内容について
书誌情报
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Zeai Huang, Kentaro Teramura, Hiroyuki Asakura, Saburo Hosokawa and Tsunehiro Tanaka (2017). Efficient photocatalytic carbon monoxide production from ammonia and carbon dioxide by the aid of artificial photosynthesis. Chemical Science, 8, 5797-5801.