鈴木俊貴 生態学研究センター研究員らの研究グループは、鳥類のシジュウカラが文法のルールを当てはめることで、初めて聞いた文章(鳴き声の組み合わせ)であっても正しく理解できることを明らかにしました。
本研究成果は、2017年7月28日午前1時に米国の学術誌「Current Biology」にオンライン掲載されました。
研究者からのコメント
私たちは、初めて読んだり闻いたりした単语の组み合わせ(文章)であっても、それが文法的に正しいかどうか瞬时に判断し、意味を理解することができます。一方、动物のコミュニケーションは、各种音声に决まった反応を示す単纯なものであると考えられてきました。本研究では、鸟类の一种?シジュウカラが文法のルールを当てはめることで、初めて闻いた鸣き声の组み合わせも正しく理解できることを明らかにしました。本成果は、动物のコミュニケーション能力の柔软性を明らかにしただけでなく、ヒトの言语の起源や进化に迫る上でも重要な発见です。
概要
シジュウカラは、异なる意味を持つ鸣き声(単语)を文法に従って组み合わせ、文章をつくることが知られるヒト以外で唯一の动物です。
本研究グループは、同种?他种の鸣き声から合成した人工的な音列を闻かせることで、シジュウカラが初めて闻いた文章であっても文法构造を正しく认识し、単语から派生する文意を理解する能力をもつことを明らかにしました。
ヒトは文法を用いて新しい文章や多言语が混在した文章からでも意味を理解することができますが、この能力がヒト以外の动物において确认されたのは今回が初めてです。本研究成果は、文法能力の柔软性を动物において初めて明らかにしただけでなく、私たちの言语がどのようにして进化したのか解き明かす上でも重要な発见です。
図:シジュウカラの警戒声(ピーツピ)とコガラの集合声(ディーディー)から新しい文章を合成し、シジュウカラがこの合成文から正しく意味を読み解けるかどうか実験した。同种の警戒声と他种の集合声が文法的に正しく并んだ场合(ピーツピ?ディーディー)、周囲を警戒しながら音源に接近することがわかった。一方、语顺を逆転させた音列(ディーディー?ピーツピ)に対しては、警戒反応も音源への接近もほとんどみられなかった。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Toshitaka N. Suzuki, David Wheatcroft, Michael Griesser (2017). Wild Birds Use an Ordering Rule to Decode Novel Call Sequences. Current Biology, 27(15), 2331-2336.e3.
- 京都新聞(7月28日 26面)、産経新聞(8月3日夕刊 8面)、毎日新聞(8月1日 23面)および読売新聞(9月6日 27面)に掲載されました。