超短光パルスで磁性体中に大振幅テラヘルツ?スピン波を励起 -超高速?高効率磁気光学デバイスへ期待-

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植田浩明 理学研究科准教授、佐藤琢哉 九州大学准教授、黒田和男 宇都宮大学特任教授、志村努 東京大学教授、飯田隆吾 同博士課程学生、是枝聡肇 立命館大学教授、藤井康裕 同助教らの研究グループは、海外の研究チームと共同で、フェムト秒光パルスを磁性体に照射することで、従来より高い周波数のテラヘルツ?スピン波を最高効率で励起することに成功しました。

本研究成果は、2017年9月21日午後6時に英国の科学誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

着想して最初の测定をしたのが2008年で、论文掲载まで足掛け9年もかかりました。こつこつ継続した研究の成果が世に出ることになり、喜びもひとしおです。

概要

光を用いた磁性体の超高速制御は、基础?応用の両面から注目されています。可视光や近赤外光は主に电子の轨道角运动量と相互作用します。しかし、多くの磁性体では轨道角运动量が消失しているため、磁化と光との相互作用は大きくありません。

本研究では、轨道角运动量が消失していない酸化コバルトに着眼し、フェムト秒光パルスを用いた大振幅のスピン波(磁化の波)励起を実証しました。また、反强磁性体(内部で隣り合うスピンが互いに反対方向を向き、磁化が相杀されている磁性体)はスピン波の周波数がテラヘルツ帯に达することが知られていますが、反强磁性酸化コバルトはその中でも最も高い周波数を示しました。

この结果は、电子スピンを用いる情报技术(スピントロニクス)における超高速かつ高効率な磁気光学デバイス(テラヘルツ放射源、光磁気记録など)の开発につながると期待されます。

测定の配置図

书誌情报

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Takuya Satoh, Ryugo Iida, Takuya Higuchi, Yasuhiro Fujii, Akitoshi  Koreeda, Hiroaki Ueda, Tsutomu Shimura, Kazuo Kuroda, V. I. Butrim & B.  A. Ivanov (2017). Excitation of coupled spin–orbit dynamics in cobalt  oxide by femtosecond laser pulses. Nature Communications, 8, 638.