「生きている家」を持ち运ぶ新种ヤドカリ

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井川桃子 人間?環境学研究科修士課程学生(現?水産庁職員)と加藤真 同教授は、奄美群島加計呂麻島で採集された、生きたサンゴを家として持ち運ぶ新種のヤドカリを調査し、「スツボサンゴツノヤドカリ」と命名しました。このサンゴは通常、環形動物のホシムシと共生することが知られています。

本研究成果は、2017年9月20日にオンライン学術雑誌「PLOS ONE」に掲載されました。

研究者からのコメント

スツボサンゴツノヤドカリは今のところ奄美でしか発见されておらず、奄美、そして日本の海の贵重さを物语る生物であると思います。

単体サンゴとホシムシ?ヤドカリとの共生関係がどのように进化してきたのかについては、未解明の点が多く残されています。それぞれの共生の详细な比较やサンゴ化石の観察などを通じて、宿贷し?牵引共生の进化の歴史を明らかにしていくことが今后の课题です。

概要

浅海に形成されるサンゴ礁は、たくさんのサンゴ个体(ポリプ)の集合体です。サンゴの种数の大部分を占めるのはこのような群体性のサンゴですが、より深い海には群体を形成しない単体サンゴと呼ばれるサンゴも存在します。ムシノスチョウジガイとスツボサンゴは、砂泥底を自由に动きまわって生活する単体サンゴです。これらのサンゴの内部には涡巻形の空洞があり、そこには通常、环形动物のホシムシが栖み込んでいます。ホシムシがサンゴを引きずって移动するとともに砂泥中への埋没からサンゴを救出する一方、サンゴはホシムシの栖み家となり、ホシムシを捕食者から防卫していると考えられています。しかし奄美では、このサンゴの中にホシムシではなく新种のヤドカリが栖み込んでいるのが见つかりました。

本研究グループは、このヤドカリの形态や行动を観察し、サンゴとの共生関係におけるヤドカリの役割や特徴を调べました。形态観察の结果、このヤドカリがツノヤドカリ属の新种であることがわかったため、スツボサンゴツノヤドカリ( Diogenes heteropsammicola )と名付け、新种として记载しました。そして行动観察の结果、ヤドカリがホシムシと同様にサンゴを牵引し、転倒や砂泥中への埋没からサンゴを救出している様子が确认されました。この発见は、絶対的な共生関係において、もともとの共生者とは全く异なる生物が役割を継承する初めての例と言えます。

図:今回発见した新种のヤドカリ。本来ホシムシが入る空洞へ栖みこんでいる。

详しい研究内容について

书誌情报

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【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

Momoko Igawa, Makoto Kato (2017). A new species of hermit crab, Diogenes heteropsammicola (Crustacea, Decapoda, Anomura, Diogenidae), replaces a mutualistic sipunculan in a walking coral symbiosis. PLoS ONE, 12(9), e0184311.

  • 朝日新聞(10月19日 35面)および京都新聞(10月17日夕刊 8面)に掲載されました。