門脇浩明 生態学研究センター研究員、西嶋翔太 中央水産研究所研究員らの研究グループは、生態系の劇的な変化(レジームシフト)についての分析と数理モデルを組み合わせ、生物個体数の小さな変化を追跡することで、生態系の異常や崩壊の予兆を検知するための枠組みを提示しました。
本研究成果は、2017年12月2日にElsevier社発行の「Ecological Indicators」電子版に掲載されました。
研究者からのコメント
自然界は、一见安定しているようにみえます。しかし、ある出来事をきっかけに剧的に変化したり、崩壊したりすることがあります。こうした生态系のバランスに突如生じる异常を事前に検知することはとても难しいテーマとされてきました。本研究では、生物个体数のわずかな変化を頼りに、生态系の崩壊の予兆を検知する枠组みを提示しました。今后は、环境DNA(※)など最新のモニタリング技术と组み合わせ、より正确な予测を実现したいと考えています。
※水をすくい、その中に含まれる顿狈础を解析することにより、そこに生息する生物の种类を网罗的に调べることができる最新の手法
概要
生息地の破壊や気候変动などによって、生态系が突如として剧的に変化することがあります。これが、レジームシフトです。レジームシフトは生态系を管理するうえで最も対処が难しい问题といわれています。生态系の崩壊は閾値を伴う反応であるため、环境変化の追跡から崩壊を予测することが难しいことが原因です。また、一度失われた生物群集は环境条件を改善しても回復しづらいため、崩壊后の対処も难しいという侧面もあります。このような背景から、レジームシフトの予兆検知や一度崩壊した生态系の回復のためには具体的にどうすべきか、确たる手法は明らかになっていませんでした。
そこで本研究グループは、生态系の中で特定の种の个体数変化を追跡することで、レジームシフトを予测できる可能性を探りました。过去の研究文献と数理モデルを组み合わせ検讨したところ、レジームシフトに先駆けていち早く个体数が少なくなる种があることが分かりました。また今回の知见を応用し、环境を再生するためには生物を导入する顺序を适切に组み立てることが効果的であることも指摘しました。
详しい研究内容について
书誌情报
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Kohmei Kadowaki, Shota Nishijima, Sonia Kéfi, Kayoko O. Kameda, Takehiro Sasaki (2017). Merging community assembly into the regime-shift approach for informing ecological restoration. Ecological Indicators, 85, 991-998.