細胞内病原体センサーがオートファジーを調節する機構の一部を解明 -細胞骨格を調節し細菌を包む膜形成を制御-

ターゲット
公开日

野澤孝志 医学研究科助教、中川一路 同教授らの研究グループは、細胞内に侵入した病原性細菌(A群レンサ球菌)を感知して、オートファジー(自食作用)を調節するメカニズムを明らかにしました。新たな細菌感染症治療法の開発のための重要な一歩と言えます。

本研究成果は、2017年11月3日に「础耻迟辞辫丑补驳测」誌にオンライン公开されました。

研究者からのコメント

オートファジーは细胞内に侵入した细菌を分解するとともに、炎症反応や抗原提示等の他の免疫応答とも関连しています。これまで、细菌の认识にはユビキチンを介したアダプターモデルが重要という知见が得られていますが、それ以外の机构についてはほとんど解明されていませんでした。今回の研究では、宿主细胞内でのインフラマソーム形成などに関わると考えられてきた细胞内病原体センサーの1つが、オートファジーの形成に関わることを明らかにすることができました。この成果は、様々な细胞内侵入性细菌の感染症発症机构の解明につながると考えられます。また、オートファジーをターゲットとした新たな细菌感染症の制御方法への応用が期待できます。

概要

オートファジーとは、细胞の中をオートファゴソームという膜で包み込み、その内容物を分解?再利用するシステムで、细胞の恒常性维持に重要な役割を担っています。また、细胞内に侵入した病原细菌に対しては、细胞内病原体センサーを介して认识してオートファジーを诱导し、选択的に细菌を杀菌します。しかし、细胞内病原体センサーがどのようにしてオートファジーを制御するのかは不明でした。

本研究グループは、細胞内病原体センサーの1つであるNLRP4がRhoGDI(Rho GDP dissociation inhibitor alpha)と結合し、Rhoシグナルを制御することでアクチンを介したオートファジー誘導を調節していることを明らかにしました。

図:病原体センサー狈尝搁笔4を介したオートファゴソーム制御のモデル

狈尝搁笔4は搁丑辞-搁丑辞骋顿滨复合体を呼び寄せることで、搁丑辞-补肠迟颈苍シグナルを介したオートファゴソーム形成を制御する。

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

Takashi Nozawa, Chihiro Aikawa, Atsuko Minowa-Nozawa & Ichiro Nakagawa (2017). The intracellular microbial sensor NLRP4 directs Rho-actin signaling to facilitate Group A Streptococcus-containing autophagosome-like vacuole formation. Autophagy, 13(11), 1841-1854.