建内宏重 医学研究科助教、市橋則明 同教授らの研究グループは、立っている時の脊柱の傾きと脊柱の柔軟性低下が、変形性股関節症の進行に関わる重要な要因であることを明らかにしました。これは、リハビリテーションの現場で比較的容易に評価可能であり、かつ、運動により改善させられる要因の中から変形性股関節症の進行に影響を与える要因を明らかにした初の報告です。
本研究成果は、2017年12月18日に国際変形性関節症学会の学術誌「Osteoarthritis and Cartilage」に掲載されました。
研究者からのコメント
现在はまだリハビリテーションによって変形性股関节症の进行を抑制できるという十分なエビデンスは存在しませんが、立位姿势や脊柱の柔软性は理学疗法士の适切な指导のもと医疗机関や自宅での运动によって変化させることが可能です。今后、立位姿势や脊柱の柔软性の改善を手段とした変形性股関节症の进行予防を目的とした研究を実施することで、进行予防に有効なリハビリテーションの开発につなげていきたいと考えています。
概要
変形性股関节症は、股関节の痛みや可动范囲の制限、筋力低下などの症状が出る疾患です。歩行や立ち座りなどの运动机能や生活の质にも大きな悪影响を与えます。女性に多い疾患であることが知られており、日本では约120万から420万人の患者がいるとされています。
変形性股関节症は慢性进行性の疾患であるため、その进行予防は极めて重要な课题です。现在まで、骨形态の异常や遗伝的要素、年齢(加齢)、性别(女性)など复数の要因が疾患进行に関わることが明らかになっています。これらの要因はリハビリテーションなどの运动によって変化させることができない要因です。そのため、変形性股関节症の进行予防を目的としたリハビリテーションのターゲットを明确にすることができず、どのような运动が有効か不明でした。
本研究グループは、リハビリテーションの现场で一般的に测定?评価されている要因の中で运动により改善させることが可能なものに着目し、それらの中から変形性股関节症の进行に関わる要因を探索しました。医学部附属病院整形外科で変形性股関节症と诊断され、経过観察中の患者50名を対象とした研究の结果、股関节の関节可动域制限や筋力低下など股関节自体の问题よりも、立っている时の脊柱の倾きと脊柱の柔软性低下が重要な要因であることが明らかとなりました。
详しい研究内容について
书誌情报
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Hiroshige Tateuchi, Haruhiko Akiyama, Koji Goto, Kazutaka So, Yutaka Kuroda, Noriaki Ichihashi (2018). Sagittal alignment and mobility of the thoracolumbar spine are associated with radiographic progression of secondary hip osteoarthritis. Osteoarthritis and Cartilage, 26(3), 397-404.