浜地格 工学研究科教授、重光孟 大阪大学助教、浦山健治 京都工芸繊維大学教授らの研究グループは、特定の刺激に応じて強度やタンパク質放出速度を自在に制御できる新しいスマートヒドロゲルの開発に成功しました。
本研究成果は、2018年1月8日午前1時に英国の科学誌「Nature Nanotechnology」オンライン速報版で公開されました。
研究者からのコメント
浜地教授
概要
水をゼリーのように固めたヒドロゲルは、ほぼ水で构成されるために生体适合性が高く、化粧品や食品だけでなく医疗や诊断への応用が期待されています。特に、特定の刺激に応答して物性を変える「刺激応答性ヒドロゲル」は、薬物の効率的保持や放出を担う素材として応用が期待されています。しかしながら、これまでの刺激応答性ヒドロゲルは「1つの刺激に対して1种类の応答」を示す単纯なもので、応用も限定されていました。様々な分子が混在する复雑な环境である生体での応用を考虑した场合、复数の特定刺激に适応して、自らその性质を柔软に変化させる自律応答性ヒドロゲルの开発が必须であると考えられます。しかし、その开発指针は、明确には示されていませんでした。
本研究グループは、生体を构成する天然のソフトマテリアルである「细胞」をヒントに、异なる刺激応答性を有する2种类のナノ繊维からなるネットワーク构造を基盘とする、刺激応答性の超分子ヒドロゲルを开発しました。このヒドロゲルはそれぞれのナノ繊维の特徴を反映し、特定の2种类の刺激に応じてゲルの强度を自律的に変え、タンパク质放出速度の制御が可能であることを明らかにしました。さらに、このヒドロゲルは刺激を受ける顺序を认识して物质の取り込み挙动を自ら制御できることも明らかにしました。
今后、本研究で示した刺激応答性超分子の复合化が、刺激応答性や自律応答性を有する新奇スマートマテリアルの创出における重要な戦略であることが认知され、新たな诊断材料や薬物徐放担体などの开発が加速することが期待されます。
详しい研究内容について
书誌情报
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Hajime Shigemitsu, Takahiro Fujisaku, Wataru Tanaka, Ryou Kubota, Saori Minami, Kenji Urayama & Itaru Hamachi (2018). An adaptive supramolecular hydrogel comprising self-sorting double nanofibre networks. Nature Nature Nanotechnology, 13(2), 165-172.
- 日刊工業新聞(1月8日 14面)に掲載されました。