植村卓史 工学研究科准教授、北尾岳史 同研究員、山本洋平 筑波大学教授、西堀英治 同教授、中嶋紗英 同博士前期課程学生、アルブレヒト建 東京工業大学助教、山元公寿 同教授らの研究グループは、ハイデルベルク大学と共同で、π共役デンドリマー(樹木のような規則正しい分岐構造をもつ分子)から形成する多孔性マイクロ結晶の作成に成功しました。
本研究成果は、2018年2月16日付で「Chemical Communications」にて公開されました。
研究者からのコメント
电子供与性-受容性デンドリマーを用いることで、挥発性ガスや有机分子を高感度に识别可能な多孔性结晶は、新しい分子识别材料としての応用が期待できます。また、爆発性のニトロ化合物や有毒な挥発性分子などの识别においても、この多孔性デンドリマー结晶は大きな威力を発挥することが期待できます。
本研究成果のポイント
- 溶媒蒸気や気体分子などの识别に応用できる新しい分子识别材料の作成に成功しました。
- アモルファスな凝集を起こしやすい巨大分子(デンドリマー)の自己组织化によって作成された结晶性のファイバーの构造と物性を明らかにしました。
- この结晶は高い多孔性を有し、気体分子や溶媒蒸気、昇华性分子など様々な分子を内部に取り込むことが可能です。
概要
デンドリマーは分子量が単一の巨大分子で、树状高分子とも呼ばれています。その立体的な嵩高さから、デンドリマーはアモルファスな(结晶のような周期构造を持たない)凝集构造を形成することが多く、特に世代(シェル部位のデンドロンの大きさを示す指标)の大きなデンドリマーにおいてその倾向は顕着です。
今回、本研究グループは、第3世代のデンドロンを有するπ共役デンドリマーの自己组织化(分子などが自発的に集合化して构造形成するプロセス)について详细に検讨しました。その结果、このデンドリマーが极めて多孔质な结晶を形成することを见出しました。このデンドリマー结晶は、大きな细孔表面积と特异な电子状态を备えているために、溶媒蒸気の曝露により蛍光强度が顕着に増大すると同时に大きな蛍光色変化を示すことが明らかになりました。蛍光特性と多孔性を併せもつデンドリマー集合体は、溶媒蒸気や気体分子などを识别する新しい蛍光プローブ(蛍光によりさまざまなセンシングを可能にする分子)としての応用が期待できます。
図:(补)コアにトリアジン、シェルに第3世代カルバゾールデンドロンをもつπ共役デンドリマー1の分子构造、および1の初期浓度が异なるクロロホルム溶液に対しアセトニトリル蒸気を拡散することで得られる粉末の写真。(产、肠)初期浓度0.1尘驳/尘尝および1.0尘驳/尘尝の溶媒条件からそれぞれ生成したマイクロ球体(产)およびマイクロファイバー(肠)の电子顕微境写真と蛍光顕微镜写真(内挿図)
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Sae Nakajima, Ken Albrecht, Soh Kushida, Eiji Nishibori, Takashi Kitao, Takashi Uemura, Kimihisa Yamamoto, Uwe H. F. Bunz and Yohei Yamamoto (2018). A fluorescent microporous crystalline dendrimer discriminates vapour molecules. Chemical Communications, 54(20), 2534-2537.