梅本滉嗣 基礎物理学研究所修士課程学生と高柳匡 同教授は、量子ビットの「Entanglement of Purification」(純粋化量子もつれ)と呼ばれる情報量を計算する新しい幾何学的公式を発見しました。
本研究成果は、2018年3月26日に国際学術誌「Nature Physics」にオンライン掲載されました。
研究者からのコメント
量子もつれの量を几何学的に计算する公式を着者の一人 ( 高柳 ) がポスドク时代に発见してから10年以上経过しました。この研究成果は、「宇宙が量子ビットで创られている」という新しいアイデアを生み出し、最近では世界中で活発に研究が进められている大きな研究テーマとなっています。しかし、この発见は氷山の一角に过ぎませんでした。ずっと一般的な公式が存在することが予想されていたにも関わらず、なかなか明确な答えを得ることができなかったのです。ところが、今回、修士课程学生(梅本)の鋭い洞察力と强い热意が大いに功を奏して、混合状态も含めて量子情报量を几何学的に计算する一般的な公式をついに発见することができました。着者の二人とも、今后のさまざまな発展に、梦を膨らませているところです。
概要
ミクロな世界を支配する物理法则は量子论と呼ばれており、また物质のミクロな构造のなかに含まれる情报の基本単位を量子ビットと呼びます。そして、重力の理论(万有引力、一般相対性理论)と量子论を融合して、宇宙の统一理论の构筑を目指す分野が超弦理论です。この分野では最近、「重力理论における宇宙は、量子ビットの集合体と见なせる」という新しい考え方が多くの研究者によって支持され、活発に研究されています。
この考え方にいたる契机となったのが、2006年に発见された笠ー高柳公式です。これは「物体础と物体叠の二つの间に共有される量子ビットの情报量(相関)は、物体に対応する宇宙の最小断面积に等しい」という内容です。しかし、この公式で正しく情报量が计算できるのは、础とB以外には物体が存在しない场合(纯粋状态)に限られるという制限がありました。
今回の研究では、础と叠以外にも热浴などの物体が存在する场合(混合状态)に対しても适用できる、大幅に一般化された公式を発见しました。それは「AとBの间に共有される量子ビットの情报量(相関)は、AとBをつなぐトンネルの最小断面积に等しい」という内容です。この公式は、量子ビットの理论と重力理论をつなぐ新しい道具を提供し、超弦理论のさらなる理解に役立つと期待されます。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Koji Umemoto & Tadashi Takayanagi (2018). Entanglement of purification through holographic duality. Nature Physics, 14(6), 573-577.