縄田信哉 工学研究科博士課程学生(現?三菱電機株式会社)、牧淳人 スウェーデン王立工科大学(KTH Royal Institute of Technology)准教授、引原隆士 工学研究科教授の研究グループは、電力のパケット化技術に基づきデジタル化?量子化された電力を扱う電気エネルギーネットワークの枠組みを構築しました。
本研究成果は、2018年5月16日に英国の国際学術誌「The Royal Society, Proceedings A」にオンライン掲載されました。
研究者からのコメント
左から、縄田博士课程学生、牧准教授、引原教授
電力のパケット化は、電力パルスと情報タグの組みを単位とすることで電力をデジタル化?量子化する、きめ細かな電力の処理を行う技術です。京都大学では、近年のワイドバンドギャップ半導体パワーデバイスの発展に基づき、電力をパケット化する物理層の技術、すなわち具体的な電気電子回路および伝送システムを、世界に先駆けて開発してきました。本研究は、通信の基本原理となるシャノンの情報理論を参考に、電力の最小単位を「記号」として定め、電力を記号の個数により扱うネットワークの枠組みを与えることに成功しました。特に、KTHとの国際共同研究により、電力パケットによるエネルギー伝送を離散的なフローとして表現するSymbol Propagation Matrixの導入に成功しました。この共同研究では、動画(画像の時系列)から歩行者の特徴点の軌跡を抽出する研究が、電力パケットに自然な表現を与えるヒントとなりました。本研究の成果は、あらゆるモノがネットワークとして繋がるIoTの設計に理論的な基礎を与え、物理と情報を統合するサイバー?フィジカル技術にまで発展すると期待しています。
概要
电力パケットは、电力パルスと宛先等を表す情报タグから构成される电力の単位です。これまでに、本研究グループは、电力パケットを物理的に実现する技术や、电力パケットを蓄积?転送する电力ルータの技术を开発していますが、さらに今回、电力のパケット化技术に基づきデジタル化?量子化された电力を扱う电気エネルギーネットワークの枠组みを构筑しました。
シャノンの情报理论は、通信の问题が记号(例えば”0”と”1”)の系列を伝える问题と等価であることを示しています。この枠组みを参考に、电力パケットの记号を、电力パルスと情报タグから成る电力の最小単位として定义しました。そして、电力のパケット化をメッセージとエネルギーの记号系列による同时表现の问题として与えました。この问题设定は、电力を记号の个数により扱うもので、デジタル化?量子化された电力の表现を与えるものです。
今回の研究では、記号として時間的?空間的に伝送される電力の表現として、Symbol Propagation Matrix (SPM) を導入しました。SPMは、デジタル化?量子化された電力を、時空間特徴を表すグラフ上のネットワークフローとして自然に表現します。望ましい需要と供給を記号の個数として実現する問題をSPMの表現により考え、連続世界と離散世界を行き来する離散凸解析の手法を用いることで、厳密解を求めることができる離散最適化問題として定式化しました。本研究成果は、従来のアナロク?回路に基つ?く電力伝送に対して、異なる技術の可能性を数理的に保証するものです。

详しい研究内容について
书誌情报
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Shinya Nawata, Atsuto Maki, Takashi Hikihara (2018). Power packet transferability via symbol propagation matrix. Proceedings of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Science, 474(2213), 20170552.