廣田圭司 ウイルス?再生医科学研究所准教授らの研究グループは、医学部附属病院、大阪大学、チューリッヒ工科大学(スイス)、フランシス?クリック研究所(英国)、エジンバラ大学(英国)と共同で、関節リウマチのマウスモデルを用い、自己免疫性関節炎を引き起こす炎症性T細胞が、関節炎の発症および慢性化維持に関わる新たな仕組みを明らかにしました。
本研究成果は、2018年5月23日に米国の国际学术誌「滨尘尘耻苍颈迟测」にオンライン公开されました
研究者からのコメント
难病の多くは自分の免疫细胞が自分の体に攻撃を始めることで発症します。医学が进んだ现在でも、完全に治すための治疗法はありません。関节リウマチでも、はれた関节の中で何が起こっているのか、未だ分からないことが多いです。今回の研究成果は、炎症をおこす细胞同士のコミュニケーションが関节炎の発症と悪化につながることを示しました。新しく発见した炎症细胞やそれらが分泌する炎症物质をブロックすることで、新しい治疗法になりうる可能性があります。引き続き、関节リウマチだけでなく治疗法の确立されていない难病に対する新しい免疫疗法开発に向け进んでいきたいと思います。
概要
関节リウマチは日本で约70万人の患者がおり、一年に1万人以上が新しく発症しています。病态は、全身性の炎症性疾患で、関节の肿胀を特徴とします。関节炎が起きた箇所にはさまざまな免疫细胞が集まり、正常なコントロールを失った炎症性の免疫细胞および滑膜细胞によって関节が破壊されます。これまで関节リウマチの発症?慢性化に関わる要因について未解明な点が多く、新规治疗法の开発のためには、これらの详细な分子机构の理解が必要です。
本研究グループは、関节炎が起きた箇所の细胞群と炎症性サイトカインが新しい免疫治疗法の标的となりうることに着目し、自己免疫性関节炎を引き起こす炎症性罢细胞との细胞间の、および炎症性サイトカインとの炎症ネットワークを形成する因子を探索しました。
本研究により、インターロイキン-17を产生する炎症性罢细胞が、関节滑膜组织において、滑膜细胞および新しく见出した自然リンパ球と炎症ネットワークを形成することで、関节炎の発症および増悪に寄与していることがわかり、これまで不明であった関节リウマチの発症?慢性化の分子メカニズムの一端を明らかにすることができました。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Keiji Hirota, Motomu Hashimoto, Yoshinaga Ito, Mayumi Matsuura, Hiromu Ito, Masao Tanaka, Hitomi Watanabe, Gen Kondoh, Atsushi Tanaka, Keiko Yasuda, Manfred Kopf, Alexandre J. Potocnik, Brigitta Stockinger, Noriko Sakaguchi, Shimon Sakaguchi (2018). Autoimmune Th17 Cells Induced Synovial Stromal and Innate Lymphoid Cell Secretion of the Cytokine GM-CSF to Initiate and Augment Autoimmune Arthritis. Immunity, 48(6), 1220-1232.e5.