山城健児 医学研究科非常勤講師(大津赤十字病院眼科部長)、辻川明孝 同教授らの研究グループは、6811人の日本人データと2068人の韓国人データを解析することで、脈絡膜の厚さや中心性漿液性網脈絡膜症の発症にCFHとVIPR2という2つの遺伝子が関与していることを発見しました。
本研究は、2018年5月29日に、国际学术誌「米国科学アカデミー纪要」にオンライン公开されました。
研究者からのコメント
きっかけは脉络膜の厚さに関する研究でしたが、中心性浆液性网脉络膜症の発症に関わる遗伝子を発见し、さらに日本人に多いタイプの加齢黄斑変性と中心性浆液性网脉络膜症との関係まで明らかにすることができました。今までは日本人に多い特殊なタイプの加齢黄斑変性はあまり注目されていませんでしたが、このタイプの加齢黄斑変性の特徴が明らかになったことから、今后の加齢黄斑変性に対する治疗が大幅に进歩していくのではないかと期待しています。
概要
中心性浆液性网脉络膜症(ちゅうしんせい?しょうえきせい?もうみゃくらくまくしょう)は中年の男性に多い病気です。脉络膜(みゃくらくまく)が厚くなり、网膜の中心部(黄斑)の里侧に水分が漏れ出てくるために中心部(黄斑)だけに网膜剥离が発症し、视界の中心部が见えにくくなります。この中心性浆液性网脉络膜症は、治癒しても数十年后に加齢黄斑変性(かれい?おうはんへんせい)を発症しやすくなるとも考えられています。
本研究グループは、6811人の日本人データと2068人の韩国人データを解析することで、脉络膜の厚さや中心性浆液性网脉络膜症の発症に颁贵贬と痴滨笔搁2という2つの遗伝子が関与していることを発见しました。この颁贵贬遗伝子は加齢黄斑変性の発症に関わる遗伝子として有名ですが、今までは中心性浆液性网脉络膜症と加齢黄斑変性との関係は不明でした。
本研究は、颁贵贬遗伝子が、白人に多いタイプの加齢黄斑変性と、日本人に多い中心性浆液性网脉络膜症が原因となるタイプの加齢黄斑変性のどちらを発症するか决定していることを明らかにしました。今后は、このような颁贵贬遗伝子が持つ中心性浆液性网脉络膜症と加齢黄斑変性に対する全く异なる2つの作用に着目して、その作用メカニズムを解明することで、中心性浆液性网脉络膜症だけではなく、日本人に多い特殊なタイプの加齢黄斑変性の発症予防が可能になると期待されます。
図:(左)中心性漿液性網脈絡膜症のイメージ (右)CFH遺伝子による、加齢黄斑変性と中心性漿液性網脈絡膜症および中心性漿液性網脈絡膜症が原因となるタイプの加齢黄斑変性の関係のイメージ図
详しい研究内容について
书誌情报
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Yoshikatsu Hosoda, Munemitsu Yoshikawa, Masahiro Miyake, Yasuharu Tabara, Jeeyun Ahn, Se Joon Woo, Shigeru Honda, Yoichi Sakurada, Chieko Shiragami, Hideo Nakanishi, Akio Oishi, Sotaro Ooto, Akiko Miki, Nagahama Study Group, Tomohiro Iida, Hiroyuki Iijima, Makoto Nakamura, Chiea Chuen Khor, Tien Yin Wong, Kyuyoung Song, Kyu Hyung Park, Ryo Yamada, Fumihiko Matsuda, Akitaka Tsujikawa, Kenji Yamashiro (2018). CFHandVIPR2as susceptibility loci in choroidal thickness and pachychoroid disease central serous chorioretinopathy. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 115(24), 6261-6266.