洞察瞑想時に自伝的記憶関連脳領域間の結合性が低下することを発見 -今この瞬間に生じている経験にありのままに気づくことの神経基盤-

ターゲット
公开日

藤野正寛 教育学研究科博士課程学生、野村理朗 同准教授、上田祥行 こころの未来研究センター特定講師、水原啓暁 情報学研究科講師、齋木潤 人間?環境学研究科教授の研究グループは、瞑想実践者の脳活動をMRI装置で測定した結果、洞察瞑想時に腹側線条体と脳梁膨大後部皮質の結合性が低下することを発見しました。

本研究成果は、2018年7月2日に英国の国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

研究者からのコメント

左から、藤野 博士課程学生、野村 准教授、上田 特定講師

本研究は、観想神経科学(Contemplative Neuroscience)という、とても新しい研究分野の研究です。この研究分野では、人類の長い歴史の中で、こころや身体を主観的に観察する力を高めた人々が体系化した技法や概念について、脳や身体を客観的に観察することのできる脳イメージング技術などを用いて検証を進めています。

本研究では、伝统的な仏教で语られてきた、「今この瞬间に生じている経験にありのままに気づくこと」について、惭搁滨装置や最新の解析手法を用いることで、その神経基盘を発见することができました。

このような瞑想実践者を対象とした惭搁滨研究としては、日本で初めての研究となります。本研究をきっかけに、日本でも多くの観想神経科学研究が进められることを愿っています。

概要

健康や幸福感を高めるマインドフルネス実践法への注目が高まっています。マインドフルネス実践法は、特定の対象に意図的に注意を集中する集中瞑想と、今この瞬间に生じている経験にありのままに気づく洞察瞑想から构成されています。従来、「意図的に注意を集中する」ことの心理メカニズムや神経基盘の解明は进んでいましたが、「ありのままに気づく」ことの心理メカニズムや神経基盘は解明されていませんでした。

本研究グループは、瞑想実践者の洞察瞑想时の脳活动を惭搁滨装置で测定し、脳领域间の関係を调べる机能的结合性解析を実施しました。その结果、洞察瞑想时に、自分の过去の経験に関する记忆に捉われる程度と関係していると考えられる、腹侧线条体と脳梁膨大后部皮质の结合性が低下することを発见しました。この结果は、今この瞬间に生じている経験に「ありのままに気づく」际に、自分の过去の経験に関する记忆に捉われる程度が低下していることを示唆しています。今后は、洞察瞑想によって自分の过去の経験から自由になれるという観点から、マインドフルネス実践法が日々の健康や幸福感を高めるメカニズムを解明することが期待されます。

図:集中瞑想时と比较して、安静时から洞察瞑想时にかけて、左腹侧线状态との结合性が低下した脳梁膨大后部皮质を中心とした脳领域を示している。

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

Masahiro Fujino, Yoshiyuki Ueda, Hiroaki Mizuhara, Jun Saiki, Michio Nomura (2018). Open monitoring meditation reduces the involvement of brain regions related to memory function. Scientific Reports, 8, 9968.

  • 京都新聞(7月6日 25面)に掲載されました。