妊娠期喫煙および出生後の受動喫煙が子の聴覚発達に与える影響 -乳幼児健診情報による大規模疫学研究-

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公开日

川上浩司 医学研究科教授、吉田都美 同特定助教、Calistus Wilunda 同博士課程学生(現?国立がんセンター特任研究員)らの研究グループは、妊娠期の喫煙と出生後の受動喫煙が、子どもの聴覚発達に影響を与えることを見出しました。

本成果は、2018年6月5日に、米国の国際学術誌「Paediatric and Perinatal Epidemiology」のオンライン版に掲載されました。

研究者からのコメント

自治体のもつ母子保健情报により、母亲の喫烟や饮酒、家族の喫烟が子どもの発育に影响することが疫学的にわかってきました。今后は、妊娠期の喫烟や生后の受动喫烟がアレルギー疾患に与える影响がどの程度あるのか、検讨することを予定しています。

近年の医疗费高腾は社会问题のひとつでもあり、病の早期発见?早期治疗だけでなく、広く一般の方も含めた予防医疗が求められています。少子高齢化の社会背景を鑑みても、今后さらに予防医疗を踏まえた疫学研究は重要になると考えられます。

私たちは、多くの子どもが健康に育ってくれたらとの思いのもと、今后も母子保健情报の活用による疫学研究を通じて子どもの健康に尽力したいと考えています。

概要

本研究グループは、2004年から2010年に神戸市の乳幼児健诊を受诊した母子50,734ペアについて、后ろ向きコホート研究という疫学研究デザインを用いて、妊娠期に喫烟のない母亲の子どもに対し、妊娠期に喫烟のある母亲の子どもはどの程度聴覚障害疑いの判定を受けやすくなるかを统计的な手法により検讨しました。

本研究の结果、妊娠期に喫烟のない母亲の子どもに比べ、妊娠期に喫烟のある母亲の子どもは聴覚障害疑いの判定を1.75倍受けやすくなること、さらに、妊娠期の母亲の喫烟にくわえて出生后4ヶ月に目前で喫烟する同居者がいる场合、子どもは2.35倍、聴覚障害疑いの判定を受けやすくなることがわかりました。本研究成果により、妊娠期の母亲や幼い子どものいる家庭では特に禁烟を促す必要性が再确认されました。

図:妊娠期喫烟および出生后の受动喫烟と、子どもの聴覚発达へのリスクについて

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

Calistus Wilunda, Satomi Yoshida, Shiro Tanaka, Yuji Kanazawa, Takeshi Kimura, Koji Kawakami (2018). Exposure to tobacco smoke prenatally and during infancy and risk of hearing impairment among children in Japan: A retrospective cohort study. Paediatric and Perinatal Epidemiology, 32(5), 430-438.

  • 朝日新聞(7月19日夕刊 7面)および日本経済新聞(7月4日夕刊 12面)に掲載されました。