細胞が情報物質を取り込む瞬間の撮影に成功 -生きた細胞の表面を「見る」革新的技術-

ターゲット
公开日

吉村成弘 生命科学研究科准教授、吉田藍子 同博士課程学生(現?北海道大学博士研究員)、鈴木勇輝 東北大学助教らと、オリンパス株式会社の研究グループは、細胞が外界の物質を取り込む際の陥入構造を生きた細胞で可視化し、その分子機構に関して新しい知見を手に入れることに成功しました。

本研究成果は、2018年5月3日に国際学術誌「PLOS Biology」のオンライン版に掲載されました。

研究者からのコメント

吉村 准教授

细胞の表面は、さまざまな情报が出入りする情报?交通の要衝です。本研究室では、细胞表面で働く分子や、细胞膜のダイナミックな动きを、「生きた细胞」においてイメージングする独自の技术をもちいて、その分子机构の解明に取り组んでいます。世界でオンリーワンの技术を駆使して、细胞膜、细胞骨格、膜タンパク质の相互作用がいかに情报伝达を制御するかを解明し、新たな「细胞表层のバイオロジー」を切り开きたいと思っています。

概要

细胞膜の陥入(エンドサイトーシス)は、细胞が外界の物质やシグナル分子を取り込む一般的なしくみとして古くから知られていましたが、膜の形态変化を诱导する分子机构に関しては、不明な点が多く残されていました。本研究グループは、「生きた细胞の细胞膜を可视化するための高速走査型プローブ顕微镜」の开発に取り组み、细胞に与える力を大幅に弱くすることで、细胞膜の形状を数ナノメートル(100万分の1ミリ)の分解能で可视化することに成功しました。さらに、高分解能の蛍光顕微镜と组み合わせることで、タンパク质の局在を同时に可视化する技术を确立し、エンドサイトーシスに伴う膜形状変化のメカニズムを分子レベルで解明することに成功しました。

特に、膜の陥入が最终的に细胞膜から切り离されて小胞を形成する际には、周辺に细胞内骨格が一过的に集合し、细胞膜に大きな力を及ぼすことが分かりました。このことは、エンドサイトーシスと细胞骨格との関係を示す重要な成果です。本研究成果は、従来の顕微镜では不可能であった细胞表层のダイナミックな动きを「目で见て」理解することを可能にした大きな技术革新です。新たな生物学的展开の可能性を十分に秘めた成果であり、エンドサイトーシスのみに留まらず、さまざまな生命现象に応用できると考えられます。

図:細胞表面では、さまざまな膜タンパク質が細胞外のシグナルを細胞内へと伝達するとともに、膜の陥入(エンドサイトーシス)が細胞外の物質を細胞内に取り込んでいる。この膜の陥入プロセスを生きた細胞で観察するために、先端の鋭利(先端径数ナノメートル)な探針(右上)で細胞表面を高速でなぞる(走査する)顕微鏡を開発し、その可視化に成功した。(?S. Yoshimura, 91视频 / Art: Tomo Narashima)

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

Aiko Yoshida, Nobuaki Sakai, Yoshitsugu Uekusa, Yuka Imaoka, Yoshitsuna Itagaki, Yuki Suzuki, Shige H. Yoshimura (2018) Morphological changes of plasma membrane and protein assembly during clathrin-mediated endocytosis. PLoS Biology, 16(5):e2004786.