石川光彦 文学研究科博士課程学生、板倉昭二 同教授らの研究グループは、赤ちゃんは他者の視線が向けられていた人物の顔を長く見ており、その人物に対して好意を持つことを明らかにしました。本研究成果は、ヒトの視線が社会的関係において持つ意味合いを、発達の早期から理解している可能性を示唆しています。
本研究成果は、2018年8月13日にスイスの国際学術誌「Frontiers in Psychology」のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
本研究にご协力いただいた本学の赤ちゃん研究员さん、そして保护者の皆様に心より感谢を申し上げます。言叶を话すようになる前の赤ちゃんにとって、大人の视线の情报はコミュニケーションにおいて非常に重要な役割をもっていると考えられます。自闭症スペクトラムではこのような视线情报の使用が困难であることが示されているので、赤ちゃんの顷からどのように他者の视线情报を使用しているのかを基础研究で解明していくことで、自闭症スペクトラムの早期発见や介入支援に贡献していきたいと思います。
概要
赤ちゃんは生后间もない顷から他者の「视线」に対しての感受性が高いことが、先行研究によって示されてきました。そこで、本研究グループは、他者の视线が向けられていたことによって、その人物に対する选好がみられるかを生后10ヶ月の赤ちゃん19名を対象に検讨しました。
まず、ヒトが2名いる场面で、一方がもう一方の人物に対して视线を向ける场面と、反対に视线を背ける场面を赤ちゃんに见せました。その后、他者の视线が向けられていた人物の颜と视线を背けられていた人物の颜を同时に提示して、どちらの颜を赤ちゃんが长く见るか调べました。その结果、赤ちゃんは他者の视线が向けられていた人物の颜を长く见ており、他者の视线が向けられることで、视线を向けられていた人物に対する赤ちゃんの选好が高まったことが示されました。本研究成果によって、视线が向けられることはポジティブなことであるというような、ヒトの视线が社会的関係においてもつ意味合いを、発达の早期から理解している可能性が示唆されました。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】
Mitsuhiko Ishikawa, Shoji Itakura (2018). Observing Others' Gaze Direction Affects Infants' Preference for Looking at Gazing- or Gazed-at Faces. Frontiers in Psychology, 9:1503.
- 毎日新聞(8月13日夕刊 1面)に掲載されました。