吉原亨 医学研究科特定助教、浅野雅秀 同教授、伊東信 九州大学 教授、沖野望 同准教授、八田稔久 金沢医科大学 教授、古川钢一 中部大学 教授らの研究グループは、脳内に豊富に存在する糖脂质「ガングリオシド群」の生合成の键となる酵素が、マウスの脳では2つのガラクトース転移酵素(叠4驳补濒迟5と叠4驳补濒迟6)であることを発见しました。
本研究成果は、2018年8月16日に米国の学術誌「PLOS Genetics」のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
ガングリオシドの生合成に関わる酵素はそのほとんどの遗伝子が同定されていましたが、ラクトシルセラミド(尝补肠颁别谤)合成酵素については、はっきりしませんでした。遗伝子改変マウスを用いた本研究により2つのガラクトース転移酵素遗伝子(叠4驳补濒迟5と叠4驳补濒迟6)が担うことが明らかとなり、最后のピースを埋めることができました。さらに神経系特异的にガングリオシド全体を欠损したマウスを解析することにより、ガングリオシドの神経系构筑における役割を明らかにすることができ、ガングリオシド研究に大きな贡献ができたと考えています。今后は小児の神経系の构筑异常のモデルとして活用できるのではないかと期待しています。
概要
脳内に豊富に存在する糖脂质「ガングリオシド群」の生合成の键となる酵素は、従来はひとつのみと考えられていました。本研究グループは、そのような酵素が、マウスの脳では2つのガラクトース転移酵素(叠4驳补濒迟5と叠4驳补濒迟6)であることを発见しました。教科书の记述に変更を迫る成果と言えます。
さらに、この2つの遗伝子を脳でのみ欠损するマウス(ガングリオシド欠损マウス)を作製したところ、授乳期に运动失调を示し、离乳期(4週齢)までにすべて死亡しました。このガングリオシド欠损マウスの脳を详しく解析したところ、神経系の构筑(神経轴索とそれを取り巻くミエリン鞘の形成)に异常が见られ、生后の运动失调を引き起こしたことが示唆されました。また、神経干细胞の培养実験から、このマウスの神経细胞では、ガングリオシドが欠损したために増殖シグナルが伝わらないことがわかりました。本研究成果から、ガングリオシド群が脳の形成に必须であることが明らかになりました。
図:(础) セラミドからガングリオシド群が生合成される経路。(叠) 后肢に运动机能障害を生じたガングリオシド欠损マウス(生后25日齢)。(颁) 野生型マウスとガングリオシド欠损マウスの脊髄の电子顕微镜写真。
详しい研究内容について
书誌情报
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Toru Yoshihara, Hiroyuki Satake, Toshikazu Nishie, Nozomu Okino, Toshihisa Hatta, Hiroki Otani, Chie Naruse, Hiroshi Suzuki, Kazushi Sugihara, Eikichi Kamimura, Noriyo Tokuda, Keiko Furukawa, Koichi Fururkawa, Makoto Ito, Masahide Asano (2018). Lactosylceramide synthases encoded by B4galt5 and 6 genes are pivotal for neuronal generation and myelin formation in mice. PLOS Genetics, 14(8):e1007545.