日本固有のサルであるニホンザルのiPS細胞の作製に成功 -iPS細胞を使った霊長類の脳神経科学や進化研究への展開-

ターゲット
公开日

仲井理沙子 霊長類研究所修士課程学生、今村公紀 同助教、大貫茉里 ドイツ?ルートヴィッヒ?マクシミリアン大学ミュンヘン研究員らの研究グループは、iPS細胞研究所と共同で、ニホンザルの皮膚の培養細胞からiPS細胞を作製することに初めて成功しました。さらに、ニホンザルのiPS細胞を神経細胞のもとになる神経幹細胞へと選択的に分化誘導することに成功しました。

本研究成果は、2018年8月15日に英国の国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

左から、仲井修士课程学生、今村助教

ニホンザルは私たち日本人にとって驯染み深いサルであるとともに、研究の世界でも日本の霊长类学や脳神経科学の発展を支えてきました。今回、ニホンザルの颈笔厂细胞を作製したことで、これまで解析が难しかった発生生物学や遗伝子机能解析についても研究が进展すると期待されます。本研究は、本学の霊长类学と颈笔厂细胞の研究者が力を合わせることで达成できました。颈笔厂细胞の可能性は、医疗分野だけに留まりません。ニホンザルの颈笔厂细胞を活用することで、霊长类学やヒト进化生物学といった颈笔厂细胞の别の可能性を提示していきたいと考えています。

概要

ニホンザルは日本の固有种であり、世界最北端に生息するサルです。温厚で我慢强く、器用で学习能力も高いことから、认知?运动机能などの脳神経科学の発展にも贡献してきました。しかし、ニホンザルの特徴を形成する个体発生と分子メカニズムについては、ほとんどが未解明のままでした。本研究グループは、ヒトやマウスで蓄积されてきた颈笔厂细胞技术を応用し、ニホンザルの颈笔厂细胞の作製に世界で初めて成功しました。

ニホンザルの颈笔厂细胞の作製には新生児(生后6日齢)と成体(21歳)の皮肤由来の培养线维芽细胞を用い、センダンウイルスによって効率よく初期化因子の遗伝子导入を行いました。さらに、フィーダー细胞と呼ばれる培养をサポートする细胞と一绪に培养することで、未分化な状态を维持することができました。さらに、ニホンザルの颈笔厂细胞から神経干细胞を选択的に分化诱导し、ニューロン(神経细胞)へと効率的に分化することにも成功しました。

本研究成果により、ニホンザルの颈笔厂细胞は脳神経科学の研究に有用であり、遗伝子や细胞の観点からニホンザルの特性を研究する道筋が示されたと言うことができます。また、ニホンザル颈笔厂细胞は半永久的に保存できることから、絶灭の危机にある霊长类を颈笔厂细胞の形で保存するなどの応用も今后期待されます。

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

Risako Nakai, Mari Ohnuki, Kota Kuroki, Haruka Ito, Hirohisa Hirai, Ryunosuke Kitajima, Toko Fujimoto, Masato Nakagawa, Wolfgang Enard & Masanori Imamura (2018). Derivation of induced pluripotent stem cells in Japanese macaque (Macaca fuscata). Scientific Reports, 8:12187.

  • 朝日新聞(8月31日夕刊 11面)、京都新聞(8月31日 28面)、産経新聞(8月31日夕刊 11面)、日刊工業新聞(8月31日 3面)、日本経済新聞(8月31日 42面)、毎日新聞(8月31日 29面)および読売新聞(8月31日夕刊 12面)に掲載されました。