花の性別により微生物が異なることを発見 -雄花と雌花が蜜や昆虫を介して細菌や酵母に与える効果を検証-

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辻かおる 生態学研究センター研究員らの研究グループは、ヒサカキとハマヒサカキの花を調査した結果、植物の雄花と雌花では花にすむ微生物群集が異なることを明らかにしました。

本研究成果は、2018年9月14日に、米国の国际学术誌「贰肠辞濒辞驳测」のオンライン版に掲载されました。

研究者からのコメント

本研究では、オスとメスの违いが、予想以上に、他の生き物たちに大きな影响を与えていることを発见しました。これまで、オスとメスの违いは同じ种の中の繁殖にかかわる戦略などの文脉で研究されることが多かったのですが、本研究では、雌雄の违いが、他の种の生物どうしの関係を大きく変化させることを示しています。この研究をとおし、普段见过ごしがちな小さな花の中でも、昆虫や微生物たちがお互いに影响を与え合いながら复雑な関係を筑き上げている、生き生きした世界があるのを感じました。今后、このような现象を幅広い分类群で调べれば、雌雄の违いが生态系の中でどれほど大きい影响を持つのかが明らかになると期待しています。

概要

动物や植物でみられる雄と雌の违いは、繁殖にかかわるだけではなく、他の种の生き物たちにも影响を与えることがあります。本研究グループは、花の蜜に住む酵母や细菌といった、异なる分类群の生物からなる群集に着目し、花の雌雄差がそうした微生物に与える効果について検証しました。

ヒサカキとハマヒサカキの雄花と雌花について调べたところ、雄花のほうが糖浓度が低く微生物が多いこと、雄花と雌花では多くみられる微生物の种が异なること、さらに、昆虫が花の蜜を採饵する时に、蜜に微生物が持ち込まれるために生じる微生物群集の変化は雄花で大きいこと、そして、蜜に微生物が持ち込まれる顺番が异なることで微生物の群集构造が変化する现象は雌花でのみ起こることを见出しました。

このような雄雌差により生じる微生物群集の违いは、蜜の成分を変え、その结果、蜜を求めて花を访れる昆虫の送粉者としての役割にも影响を与える可能性があります。本研究成果により、ある生物の雌雄差が他种の生物にも影响を及ぼすことが示されました。

図:(上)研究の概念図 (下)酵母の导入実験 (イラスト:辻かおる、深见理、神崎裕一郎)

详しい研究内容について

书誌情报

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Kaoru Tsuji, Tadashi Fukami (2018). Community-wide consequences of sexual dimorphism: evidence from nectar microbes in dioecious plants. Ecology, 99(11), 2476-1484.