斎藤通紀 医学研究科教授(兼?物質ー細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)連携PI、iPS細胞研究所主任研究者)、山城知佳 同博士課程学生(技術補佐員)らの研究グループは、ヒトiPS細胞から誘導した、すべての精子と卵子の起源となる細胞「始原生殖細胞様細胞 」から、卵子のもととなる「卵原細胞」 を作出することに、世界で初めて成功しました。
本研究成果は、2018年9月21日に、米国の科学誌「厂肠颈别苍肠别」のオンライン版に掲载されました。
研究者からのコメント
左から、斎藤教授、山城博士课程学生
ヒト颈笔厂细胞から卵子のもととなる卵原细胞を、试験官内で诱导できるようになりました。今后は、卵母细胞、ひいては卵子へと分化成熟させる技术の开発に取り组み、ヒト雌性生殖细胞の正常な発生机构への理解を一层深めたいと考えています。
そこから得られた知见が、ヒトにおける遗伝情报継承机构の解明や、不妊症の原因および遗伝病の発症机序の究明に役立てられることを期待しています。
概要
卵原细胞とは、発生7週目顷のヒト胎子から新生子にまで存在する、卵母细胞(胎児期に卵原细胞から分化し、减数分裂中にある雌性生殖细胞)に分化を开始する直前の细胞です。これまで本研究グループは、ヒト颈笔厂细胞から始原生殖细胞様细胞の诱导を报告してきましたが、ヒト始原生殖细胞様细胞をさらに分化させる技术の开発が望まれてきました。
本研究グループは、ヒト始原生殖细胞様细胞を、マウス胎仔卵巣の体细胞と共に约3ヶ月间培养することにより、卵原细胞へと分化させることに成功しました。これは、ヒト卵原细胞の作出に成功した世界で初めての成果です。
本研究成果は、ヒト生殖细胞の発生机构の理解を促进し、ヒト卵原细胞から卵母细胞、さらに卵子を诱导する研究の基盘を筑くもので、将来的には不妊症の原因解明など、生殖医疗の発展に役立つことが期待されます。
図:ヒト颈笔厂细胞から卵原细胞を作出するための実験手顺
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Chika Yamashiro, Kotaro Sasaki, Yukihiro Yabuta, Yoji Kojima, Tomonori Nakamura, Ikuhiro Okamoto, Shihori Yokobayashi, Yusuke Murase, Yukiko Ishikura, Kenjiro Shirane, Hiroyuki Sasaki, Takuya Yamamoto, Mitinori Saitou (2018). Generation of human oogonia from induced pluripotent stem cells in vitro. Science, 362(6412), 356-360.
- 朝日新聞(9月21日 9面)、京都新聞(9月21日 26面)、産経新聞(9月21日 3面)、中日新聞(9月21日夕刊 3面)、日刊工業新聞(9月21日 33面)、日本経済新聞(9月21日 38面)、毎日新聞(9月21日 28面)および読売新聞(9月21日 32面)に掲載されました。