倉重佑輝 理学研究科特定准教授、村橋哲郎 東京工業大学教授、山本浩二 同助教らの研究グループは、自然科学研究機構分子科学研究所と共同で、13個のパラジウム原子を環状不飽和炭化水素で三次元型にサンドイッチした有機金属ナノクラスターの合成に成功しました。
本研究成果は、2018年9月17日に、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
今回、叁次元型サンドイッチ构造をもつ新しいタイプの有机金属ナノクラスターが合成されました。この分子の奇妙な构造は、私たちが未だ目にしたことのない未発见の分子群の存在を强く示唆するものです。この分子に学び、安定に存在するための中心金属の数?几何学的构造、配位子の种类?位置の组み合わせについて明解な理论的説明がなされることで、新しい构造や机能を持った分子の开拓につながることが期待されます。
本研究成果のポイント
- 叁次元サンドイッチ型构造をもつ安定なキューブ状有机金属ナノクラスターが形成されることを発见
- サンドイッチ构造内にバルク金属内と同じ最密充填金属构造が形成されることを発见
- 触媒や材料として注目される金属ナノクラスターの新しい分子设计方法を开発
概要
サンドイッチ错体は1973年のノーベル赏の対象になった化合物であり、二つの环状不饱和炭化水素が2方向から一つまたは复数の金属原子を挟みこむことで形成されます。
本研究グループは、七角形の环状不饱和炭化水素が复数の金属原子に结合しやすい性质をもつことに着目し、10个以上の金属原子が块状に集合して生じる金属ナノクラスターの周りを环状不饱和炭化水素が6方向からサンドイッチすることで、安定な有机金属クラスター分子が生じることを発见しました。本研究で合成した叁次元型サンドイッチ金属ナノクラスターは、炭素平面がキューブ(立方体)状に配置された构造をもち、新たなナノスケール分子として、触媒や机能材料への応用が期待されます。

図:従来型のサンドイッチ金属错体(左)と、本研究で新たに创出した叁次元型サンドイッチ金属ナノクラスター(右)の模式図
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Masahiro Teramoto, Kosuke Iwata, Hiroshige Yamaura, Kenta Kurashima, Koshi Miyazawa, Yuki Kurashige, Koji Yamamoto, and Tetsuro Murahashi (2018). Three-Dimensional Sandwich Nanocubes Composed of 13-Atom Palladium Core and Hexakis-Carbocycle Shell. Journal of the American Chemical Society, 140(40), 12682-12686.