坂本智子 iPS細胞研究所特定研究員、タムケオ?ディーン 医学研究科特定准教授、成宮周 名誉教授(医学研究科特任教授)らの研究グループは、精巣内のセルトリ細胞表層にある細胞骨格アクチンの網目状構造によって、正常な精子の形態が形成される分子メカニズムを解明しました。
本研究成果は、2018年9月26日に米国の国際学術雑誌「PLOS Biology」のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
近年、少子化が社会的な问题になっており、不妊の诊断及び治疗が喫紧の课题です。これまでの研究により、不妊の约半分は男性不妊であることが明らかになりましたが、その多くは原因がまだ不明のままです。本研究によって明らかになったセルトリ细胞における尘顿颈补1/3机能の知见は、今后の男性不妊の诊断及び治疗开発に応用されることが期待されます。
概要
不妊の原因の约半数を占める男性不妊の原因の多くは精子形成障害ですが、その原因が不明なため、根本的な治疗法はないのが现状です。しかし、正常な精子の形成には、精子细胞と、精巣内に存在する支持细胞であるセルトリ细胞との密接な相互作用が重要であることが分かっていました。
本研究グループは、この精子细胞とセルトリ细胞の细胞间接着を强化する细胞骨格アクチンの构造が、アクチンの重合を促进する尘顿颈补1および尘顿颈补3タンパクによって作られ、正常な精子の形态形成に寄与していることを见出しました。この尘顿颈补1および尘顿颈补3を二つとも欠损すると、精子细胞とセルトリ细胞の接着形成?维持に障害をきたし、精子の形成不全が起きることも确认しました。
本研究成果は、セルトリ细胞内のアクチン细胞骨格系の异常が男性不妊の原因の一つとなることを示唆するものであり、新しい男性不妊の治疗法の开発につながる可能性を提示するものです。
図:セルトリ细胞皮质下アクチン繊维构造の超解像度イメージング
详しい研究内容について
书誌情报
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Satoko Sakamoto, Dean Thumkeo, Hiroshi Ohta, Zhen Zhang, Shuangru Huang, Pakorn Kanchanawong, Takayoshi Fuu, Sadanori Watanabe, Kentaro Shimada, Yoshitaka Fujihara, Shosei Yoshida, Masahito Ikawa, Naoki Watanabe, Mitinori Saitou, Shuh Narumiya (2018). mDia1/3 generate cortical F-actin meshwork in Sertoli cells that is continuous with contractile F-actin bundles and indispensable for spermatogenesis and male fertility. PLOS Biology, 16(9):e2004874.
- 京都新聞(10月12日 29面)および毎日新聞(10月16日 26面)に掲載されました。