戸井雅和 医学研究科教授(兼?医学部附属病院教授)、松本純明 医学部附属病院特定助教らの研究グループは、非侵襲で血管を可視化できる光超音波イメージング技術について、異なる2波長の光の照射方法を逐次照射から交互照射に変更することで、より解像度が高く、動脈と静脈が精度良く分離される画像を得ることに成功しました。
本研究成果は、2018年10月8日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
异常血管の新生が関与する疾患は、がんや関节リウマチ、皮肤疾患などをはじめ、70以上あると言われていますが、これら新生血管は非常に微小で、これまでの画像技术では描出が困难でした。光超音波イメージングは、无被ばく?非造影でこれらの血管を可视化しうる技术であり、さらに酸素饱和度の指标も合わせて测定できるという特长は、これまでにない血管の机能面での评価を可能にします。
今后は肿疡の良悪诊断や治疗効果判定、微小な血管の走行の理解が求められる手术など幅広い応用が期待されます。
概要
光超音波イメージングは、血中のヘモグロビンが光を吸収した后に発する超音波を画像化することで血管を可视化できる非侵袭の生体イメージング技术で、构造およひ?机能の両方の観点から、血管を解析できる技术です。本研究グループではこれまで同技术を使って、乳がんの肿疡血管が描出できることや薬物疗法で画像に変化が见られることを明らかにし、また、手掌の血管を対象に血管の形状解析技术を开発するなど、装置や解析手法の改良を重ねてきました。
本研究では、2波长の光の照射方法を逐次照射から交互照射に変更することで、异なる波长间での位置ずれが解消され、动脉と静脉が精度良く分离される画像を得ることに成功しました。乳房では、従来の超音波画像を同じ座标轴で同时取得し、その2次元画像を积分することで3次元の超音波画像を生成、光超音波による3次元血管像と重ね合わせることができます(図参照)。本研究成果により、肿疡血管の形状や酸素饱和度について、今后さらなる详细な解析が期待されます。また、乳房以外では、四肢の细い穿通枝血管が精细に可视化できることがわかり、形成外科において再建手术の术前マッピングへの活用が期待されます。

図:本研究の光超音波イメーシ?ンク?により取得された乳がんの肿疡血管3次元画像(右図の赤の领域は通常の超音波で得られた肿疡の3次元画像)
详しい研究内容について
书誌情报
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Yoshiaki Matsumoto, Yasufumi Asao, Hiroyuki Sekiguchi, Aya Yoshikawa, Tomoko Ishii, Ken-ichi Nagae, Shuichi Kobayashi, Itaru Tsuge, Susumu Saito, Masahiro Takada, Yoshihiro Ishida, Masako Kataoka, Takaki Sakurai, Takayuki Yagi, Kenji Kabashima, Shigehiko Suzuki, Kaori Togashi, Tsuyoshi Shiina & Masakazu Toi (2018). Visualising peripheral arterioles and venules through high-resolution and large-area photoacoustic imaging. Scientific Reports, 8:14930.