広範囲の植物病原糸状菌が分泌する感染因子の機能を解明 -エフェクターNIS1は植物の病原体認識システムの中枢を攻撃する-

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高野義孝 農学研究科教授、井上喜博 同博士研究員、入枝泰樹 信州大学助教(文部科学省卓越研究員)、森正之 石川県立大学准教授らの研究グループは、広範囲の植物病原糸状菌が分泌する感染因子の機能を解明しました。

病害による世界の农业生产被害の80%以上は、糸状菌(カビ?菌类)によって引き起こされています。この植物病原菌は、宿主の植物に感染する时に「エフェクター」と呼ばれるさまざまなタンパク质を分泌し、宿主が本来発挥すべき防御反応を抑制していることが分かっています。しかし、どのエフェクターが重要な役割を果たすのかは不明なままでした。

本研究グループは、広范囲の植物病原糸状菌が共通してもっているエフェクター「狈滨厂1」が、植物の病原体认识机构の中枢を攻撃していることを発见しました。さらに、イネいもち病菌においては、狈滨厂1の丧失によって病原性が剧的に低下することも确认できました。本研究を基盘として、広范な植物病原菌に効果があり、かつその感染戦略のみをブロックできる新规农薬の开発につながることが期待されます。

本研究成果は、2018年12月24日に、国际学术誌「米国科学アカデミー纪要(笔狈础厂)」のオンライン版に掲载されました。

図:植物病原糸状菌のエフェクター狈滨厂1は、植物の病原体认识机构の中枢を攻撃する。

详しい研究内容について

书誌情报

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Hiroki Irieda, Yoshihiro Inoue, Masashi Mori, Kohji Yamada, Yuu Oshikawa, Hiromasa Saitoh, Aiko Uemura, Ryohei Terauchi, Saeko Kitakura, Ayumi Kosaka, Suthitar Singkaravanit-Ogawa, and Yoshitaka Takano (2018). Conserved fungal effector suppresses PAMP-triggered immunity by targeting plant immune kinases. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 116(2), 496-505.

  • 京都新聞(12月31日 22面)に掲載されました。