加藤博章 薬学研究科教授、山口知宏 同助教、中津亨 同准教授、松岡敬太 同博士課程学生、植田和光 農学研究科教授(兼?高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)連携PI)、小段篤史 同特任助教、木村泰久 同助教らの研究グループは、ATP(アデノシン三リン酸)を動力源として薬物を細胞外へ運び出すP糖タンパク質(ABCB1)が、どんな薬でも輸送できる仕組みの分子構造基盤を初めて明らかにしました。
础叠颁叠1は、多种多様な异物の体内(细胞内)への侵入を防ぐ生体防御の要ですが、多くの薬も排出してしまうので双刃の剣となっており、础叠颁叠1がどのように多様な化学构造のクスリを认识して运ぶことができるのかは、薬学における最大の谜の1つでした。
本研究グループは、础叠颁叠1が动作する途中の2つの状态、すなわち、薬を捉えようと细胞内侧に开いた状态と、础罢笔と结合して薬を细胞外へ运び出した后の状态を结晶化して、それぞれの立体构造を原子分解能で决定することに初めて成功しました。その结果、どんな薬も分子内部の巨大な袋に捉え、袋を绞るようにして排出する新たな仕组みが明らかにされました。本研究成果は、革新的な新薬を生み出すために役立つことが期待されます。
本研究成果は、2019年1月8日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
図:本研究の概要
详しい研究内容について
书誌情报
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Atsushi Kodan, Tomohiro Yamaguchi, Toru Nakatsu, Keita Matsuoka, Yasuhisa Kimura, Kazumitsu Ueda & Hiroaki Kato (2019). Inward- and outward-facing X-ray crystal structures of homodimeric P-glycoprotein CmABCB1. Nature Communications, 10:88.