皮膚がんの形態形成の数理モデルを開発 -細胞の増殖効果と流体効果-

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鶴山竜昭 医学研究科特定教授、星野拓馬 首都大学東京博士課程学生、好村滋行 同准教授らの研究グループは、メラノーマなどの皮膚がんの形態形成を説明する数理モデルを考案し、病理学的に観察される皮膚がんの異なるパターンは、がん細胞の増殖率と流体力学的相互作用の強さの違いに起因することを明らかにしました。

皮肤がんの一种であるメラノーマは悪性黒色肿と呼ばれ、メラニンという色素物质を作る色素细胞(メラノサイト)によく似た性质をもつ细胞からなる肿疡と考えられています。皮肤に形成されるメラノーマは病理学的な観察が比较的容易であり、「縞状パターン」や「斑点パターン」などが知られています。

本研究では、皮肤がんの形态形成を新しいタイプの「相分离现象」と捉えて、その形态形成を计算机シミュレーションによって调べました。その结果、细胞の増殖率と流体効果の强さの组み合わせによって异なるパターンが得られることがわかり、特徴的な长さをもつ縞状パターンや斑点パターンなどを再现することに成功しました。

本研究成果は、2019年3月21日に、国際学術誌「Physical Review E」に掲載されました。

図:実際のメラノーマで観察される(a)縞状パターンと(b)斑点パターン(画像:「DermNet New Zealand」ホームページより)。本研究によって得られた(c)縞状パターンと(d)斑点パターン。

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

Takuma Hoshino, Ming-Wei Liu, Kuo-An Wu, Hsuan-Yi Chen, Tatsuaki Tsuruyama, and Shigeyuki Komura (2019). Pattern formation of skin cancers: Effects of cancer proliferation and hydrodynamic interactions. Physical Review E, 99(3):032416.