多発性骨髄腫における遺伝子変異蓄積の分子メカニズムの一端を解明 -新たな治療標的としてのDNAシトシン脱アミノ化酵素の可能性-

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高折晃史 医学研究科 教授、白川康太郎 同助教、山崎寛章 同研究員らの研究グループは、多発性骨髄腫における遺伝子変異蓄積の分子メカニズムの一端を解明しました。

がんは経过とともに遗伝子変异を蓄积しクローン进化を引き起こします。多くのがん患者では当初有効であった抗がん剤治疗に対して抵抗性になることに、このクローン进化が関与していると考えられていますが、その分子メカニズムは解っていません。

今回、本研究グループは、内在性の顿狈础シトシン脱アミノ化酵素である础笔翱叠贰颁3叠が、骨髄肿のゲノムに特定のパターンの遗伝子変异を蓄积し、またこの変异の修復过程で遗伝子欠失を起こすことを明らかにしました。础笔翱叠贰颁3叠が蓄积する遗伝子异常が多発性骨髄肿のクローン进化やゲノム不安定性を促し、病期の进展や薬剤耐性化の原因となると考えられます。

本研究成果は、础笔翱叠贰颁3叠の酵素活性を阻害することで骨髄肿の「遗伝子変异を制御し、従来の抗がん剤治疗の効果を维持する」という新たなコンセプトのがん治疗の开発につながることが期待されます。

本研究成果は、2019年5月9日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

详しい研究内容について

书誌情报

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Hiroyuki Yamazaki, Kotaro Shirakawa, Tadahiko Matsumoto, Shigeki Hirabayashi, Yasuhiro Murakawa, Masayuki Kobayashi, Anamaria Daniela Sarca, Yasuhiro Kazuma, Hiroyuki Matsui, Wataru Maruyama, Hirofumi Fukuda, Ryutaro Shirakawa, Keisuke Shindo, Masaki Ri, Shinsuke Iida & Akifumi Takaori-Kondo (2019). Endogenous APOBEC3B Overexpression Constitutively Generates DNA Substitutions and Deletions in Myeloma Cells. Scientific Reports, 9:7122.

  • 京都新聞(5月10日 24面)、産経新聞(5月10日 28面)、中日新聞(5月27日夕刊 3面)、日本経済新聞(5月27日 14面)、毎日新聞(5月27日 8面)および読売新聞(5月24日 15面)に掲載されました。