樹木の乾燥ストレス反応の種間差を引き起こすメカニズムを解明 -葉脈構造と水チャネルタンパク質の関与-

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石田厚 生态学研究センター 教授、原山尚徳 森林研究?整备机构森林総合研究所 主任研究員、北尾光俊 同研究グループ長、Evgenios Agathokleous 南京大学 教授らの研究グループは、树木の乾燥ストレス反応に関する新たな生理メカニズムを明らかにしました。

树木は乾燥ストレスにさらされると、叶の気孔を闭じて叶からの水分损失を抑制しますが、気孔を闭じることで光合成に必要な二酸化炭素の取り込みも抑制されてしまいます。地球温暖化にともなう降水パターンの変化が予想されるなか、树木が乾燥ストレスに対してどのようなメカニズムで気孔を闭じ、叶からの水分损失を制御しているのかを明らかにすることは、非常に重要です。本研究では、叶内の水移动に関连する叶の构造と细胞膜にあるタンパク质の生理机能に着目し、乾燥ストレスによる気孔闭锁のメカニズムについて调べました。

その结果、细胞膜の水透过性を制御する膜タンパク质であるアクアポリンが、叶内部の水移动抵抗の変化を通じ、気孔の开闭を制御していることが明らかになりました。また、叶脉密度が低い构造を持つ树种ほど、アクアポリンに依存した気孔开闭を行っており、乾燥ストレスにアクアポリンが反応することで、水分损失が进行する前にすばやく気孔を闭じることが可能になっていることがわかりました。

本研究で得られた知见は、地球温暖化の森林に対する影响予测モデルの高度化につながることが期待されます。

本研究成果は、2019年6月5日に、国際学術誌「Proceedings of the Royal Society B-Biological Science」に掲載されました。

図:叶脉密度(主脉系叶脉密度)が低い构造の树种ほどアクアポリンに依存した気孔开闭を行う。主脉系叶脉密度とは、叶脉のうち叶から浮き出ている1次脉(赤)、2次脉(青)、3次脉(一部黄で図示)の総长を、叶面积で除した値。

详しい研究内容について

书誌情报

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Hisanori Harayama, Mitsutoshi Kitao, Evgenios Agathokleous and Atsushi Ishida (2019). Effects of major vein blockage and aquaporin inhibition on leaf hydraulics and stomatal conductance. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 286(1904):20190799.