発生期の大脳で分化細胞と未分化細胞の移動開始をもたらす共通の分子を解明 -「大脳のシワ」形成に貢献する外側放射状グリアはどのように誕生するか-

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松崎文雄 生命科学研究科 教授(兼?理化学研究所チームリーダー)、川上巧 名古屋大学 特任助教、川口綾乃 同准教授らの研究グループは、発生期の大脳の中でニューロンに分化する細胞と分化しないままの神経前駆細胞の移動をもたらす共通の仕組みを明らかにしました。

神経前駆细胞は神経干细胞とも呼ばれる细胞で、哺乳类の大脳ができる过程で分裂を繰り返しながら多くの细胞を生み出していきます。神経前駆细胞の多くは、当初は脳室面で分裂し、生まれた细胞のうちニューロンに分化する细胞は、すみやかに脳室面から离脱して外侧へ移动します。この离脱は3次元的な脳を形作るための重要なステップですが、その実行役となる分子の详细は明らかとなっていませんでした。

一方、大脳の発生が进むにつれ、脳室面から离れた外侧の领域には别の种类の神経前駆细胞である外侧放射状グリアが出现してきます。外侧放射状グリアは「大脳にシワのない」マウスに比べて「大脳にシワを持つ」生物种で特に多く、大量のニューロンを生み出すことで大脳のシワ形成に贡献することが知られています。しかし、その诞生をもたらす仕组みはよくわかっていませんでした。

本研究グループは、これら分化细胞の脳室面からのすみやかな移动开始と外侧放射状グリア诞生の両者を共通して制御している分子を発见しました。本研究は、ヒトの大脳のシワ形成にも贡献する外侧放射状グリアの诞生の仕组みを初めて明らかとするとともに、それが分化细胞の移动开始という脳の発生过程でみられる基本的现象と共通の分子によって制御されていることを示しました。

本研究成果は、2019年6月25日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。

図:大脳の発生过程で、诞生したばかりのニューロン分化细胞の移动开始を尝锄迟蝉1という分子が制御していることを解明した

详しい研究内容について

书誌情报

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T. Kawaue, A. Shitamukai, A. Nagasaka, Y. Tsunekawa, T. Shinoda, K. Saito, R. Terada, M. Bilgic, T. Miyata, F. Matsuzaki & A. Kawaguchi (2019). Lzts1 controls both neuronal delamination and outer radial glial-like cell generation during mammalian cerebral development. Nature Communications, 10:2780.