安田秀幸 工学研究科 教授、森下浩平 同助教(現?九州大学准教授)、西村友宏 同博士課程学生(現?神戸製鋼所研究員)らの研究グループは、吉矢真人 大阪大学 准教授、中塚憲章 同博士課程学生(現?神戸製鋼所研究員)、杉山明 大阪产业大学 教授、上杉健太朗 高辉度光科学研究センター 主席研究員、竹内晃久 同主幹研究員と共同で、鉄鋼材料の凝固過程において体心立方構造から面心立方構造への固相の変態が起こり、温度の条件によりこの変態がデンドライトの分断を誘発することを、大型放射光施設SPring-8の放射光を利用したX線イメージング実験により実証しました。
鉄钢材料である炭素钢は社会基盘を支える材料であり、生产性や材料特性の向上は社会全体に波及します。これまで0.5飞迟%(质量パーセント浓度)炭素以下の钢の凝固过程は、フェライトと呼ばれる体心立方构造の固相と液相の反応によりオーステナイトと呼ばれる面心立方构造の固相が生成する「包晶反応」が起こると考えられてきました。
本研究は、この凝固过程で包晶反応は起こらず、フェライトからオーステナイトへのマッシブ的変态が起こると同时に微细なオーステナイトの结晶粒が生成すること、条件によりオーステナイト粒界やフェライト-オーステナイト境界が溶解してデンドライトが分断することを明らかにしました。マッシブ的変态を利用したデンドライトの分断は材料の组织制御に利用できる一方、凝固过程で生じる欠陥の形成に関係している可能性も示唆しています。
今后、本研究成果を製造プロセスや材料特性の向上に结びつけることが期待されます。
本研究成果は、2019年7月18日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図
详しい研究内容について
书誌情报
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Hideyuki Yasuda, Kohei Morishita, Noriaki Nakatsuka, Tomohiro Nishimura, Masato Yoshiya, Akira Sugiyama, Kentaro Uesugi & Akihisa Takeuchi (2019). Dendrite fragmentation induced by massive-like δ–γ transformation in Fe–C alloys. Nature Communications, 10:3183.